2021 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of behavioral monitoring method of bivalves (oysters and scallops) for the construction of environmentally adaptive aquaculture
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20K15575
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
富安 信 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (50837101)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 二枚貝養殖 / 行動モニタリング / 環境適応 / カキ / 稚貝 / 養殖バスケット / シングルシード |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は以下の①~③の研究を実施した。 ①通年で養殖マガキの殻体運動を計測し、定常的には潮汐に応じて殻の開閉を行うものの、季節や水温によって行動の特徴が異なることを明らかにした。また産卵行動時の殻体運動の特徴について別途屋内実験を通じて定量化に成功し、野外での産卵期のデータからも産卵行動を把握することができた。産卵行動は複数回行われており、短期的な天候や注水といったイベントと共に長期的な成熟のための積算水温が関連し、行動の特徴量が変動することがわかってきた。 ②これまで観測が行われていなかったマガキの稚貝についても磁力センサーを用いて殻体運動の抽出に成功した。成貝と同じ屋内の養殖環境に晒すと、成貝よりも周囲のクロロフィル濃度に敏感に反応しより濃度の低い状態でも長く殻を開殻させることが明らかになった。またクロロフィル濃度の極端に低い環境では、成貝と同じく短時間での開殻のみを行い、その他の時間は閉殻する傾向にあった。加えて10μ/Lを超える高いクロロフィル濃度の環境でも摂餌行動が阻害されることはないと考えられた。 ③シングルシード養殖に特徴的な深い殻を持った個体の出現について、マガキの稚貝期から成長を定期的にモニタリングすると共に養殖に用いるバスケットの挙動を計測し、その関係性を明らかにした。タイプの異なるバスケットを用いることで定常的なバスケットの縦揺れ横揺れがカキの殻の形成に影響を与えている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マガキ養殖で予定していた調査研究についておおむね問題なく実施することができた一方でホタテガイ養殖での研究実施は新たな研究の進展が少なかったため、本評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
マガキ養殖については、今後①③を組み合わせた計測を行い、個体の行動や環境への応答を加味した養殖へ貢献できる知見の取得を目指す。ホタテガイ養殖については、初年度に把握した基本的な行動生態について緻密な分析を行うと共に、養殖現場へ貢献できる基礎生態の解明を目指す。
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Research Products
(4 results)