2021 Fiscal Year Research-status Report
長期的なレプチン投与が魚類の生殖腺発達に与える影響の検証
Project/Area Number |
20K15600
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大賀 浩史 九州大学, 農学研究院, 学術研究員 (60792299)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 組換えレプチン / 生体投与 / 初回成熟 / GSI / 生殖腺発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2種の組換えレプチン(LepAとLepB)の大規模な生産を行い、生体投与を行うことで、レプチンがマサバの生殖腺の発達に与える影響を検証した。 大腸菌発現系による組換えレプチンの生産では、2.1 mgのLepAと1.21 mgのLepBが合成された。これらはいずれも、哺乳類細胞に発現させたLepRに対するシグナル伝達能を示したことより、生理活性が認められた。 生体投与実験では、初回成熟を迎える直前の雌雄マサバ(平均魚体重120 g)が使用され、キロ体重あたり150 μg量の各レプチンが筋中投与された。投与は週1回のスケジュールで計4回行われ、最終投与の1週間後(初回投与から4週間後)にサンプリングが行われた。 雌では、LepAおよびLepBの投与による生殖腺重量指数(GSI)の変化は認められなかった。雄では、LepAおよびLepBの投与により、実験前コントロール群と比較して有意なGSI増加が認められたが、擬似コントロール群との有意差は認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、組換えレプチンの生産を行い生体投与までを行うことができた。レプチンがマサバの生殖腺発達に与える影響の検証については、本年度の実験ではクリアな結果が得られなかったが、特に一部の雄個体では生殖腺発達に対する促進効果が認められたことから、研究は順調に進展していると考えられる。 一方、前年度からの課題であるタンパク質合成のさらなる効率化については、特にコストの低減および封入体からの巻返し技術の向上について、更なる検討が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
組換えタンパク質の大量合成技術の開発では、透析法を主とした、より低コストかつ簡便で試料ロスの少ない合成法の開発を目指す。 本年度の生体投与実験では、生産できた組換えタンパク質量の関係で、低濃度のホルモン投与しか行えなかったため、より高濃度投与の試験区を含む投与量の詳細な検討が必要である、また、投与方法および間隔に関する検討が必要である。 また、マサバのレプチンの分泌動態を明らかにするために、ELISA法による血中レプチンの測定系の開発を行う。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴う学会の中止あるいはオンライン開催への移行により、当初想定していたよりも旅費の支出が少なかったため。
|