2021 Fiscal Year Research-status Report
Role of central natriuretic peptides in invasion into freshwater environment
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20K15604
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片山 侑駿 岡山大学, 自然科学学域, 特任助教 (00837601)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 全ゲノム重複 / ナトリウム利尿ペプチド / 回遊 / ウナギ / 浸透圧調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年漁獲量が極めて低水準となっているウナギは、その資源を適切に維持することが喫緊の課題となっている。しかし、その複雑な回遊生態やそれにともなう生理的変化や行動特性の変化はあまり明らかになっていない。そこで本申請では、ウナギの脳に発現するナトリウム利尿ペプチドの中枢機能の同定に挑戦した。ナトリウム利尿ペプチドは末梢器官においては体液調節作用を示す一方、その中枢機能は未知である。我々が国際誌(Molecular and Cellular Endocrinology, 2020)に発表した研究では,下垂体に発現するCNP3が血液を介して全身に作用し,淡水適応に重要な役割を担っていることを明らかにした。2021年度の研究においては,ナトリウム利尿ペプチドの一グループであるCNP1-4aはウナギの脳に広範囲に発現することが明らかになった。また,ウナギ脳で発現する新規CNP遺伝子を発見し,シンテニー解析を行なった。この新規遺伝子は,硬骨魚類の全ゲノム重複で祖先型CNP4から生じたことがわかったので,CNP4bと命名した。CNP4aおよびCNP4bの脳におけるmRNA局在解析を行い,両者が異なる局在を示すことを明らかにした。ウナギCNP4aは前脳に多く発現していた。CNP4b は,延髄を中心に発現しており,特に嚥下(飲水)を制御するコリン作動性ニューロンに多くの発現が見られた。すなわちCNP4bは,神経を介して水やイオンの摂取を調節していることが示唆された。この成果は,Cell Tissue Research誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In situ hybridizationを用いて,CNP1-3及びその受容体NPRA,NPRB,NPRCの脳内における発現領域の解析を進めている。プローブの作成と予備的な解析は終わっているため,現在各領域における詳細な解析を行っている。また,近年ナトリウム利尿ペプチド系の脊髄神経における役割が指摘されているため,ウナギ脊髄を用いた発現領域の解析も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ウナギ以外のカライワシのレプトセファルスを用いた研究も含め,比較生物学的にナトリウム利尿ペプチドの浸透圧調節における役割を検討していく予定である。その中で,トランスクリプトーム解析により他のホルモン遺伝子との関連も調べていく予定である。
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Causes of Carryover |
実験水槽の導入(外注)が遅れたため,次年度に使用予定である。
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