2021 Fiscal Year Research-status Report
限定的な情報処理能力を考慮した食料消費行動モデルに基づく差別化戦略の再検討
Project/Area Number |
20K15608
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Research Institution | Policy Research Institute, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries |
Principal Investigator |
伊藤 暢宏 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (70845883)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 情報処理能力 / 購買パターン / 食料消費 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、消費者の限定的な情報処理能力が食料消費行動に与える影響を検討することである。課題申請時には生じていなかったが、ここ2年間のCOVID-19は、初期の頃には特に不確実性を生じさせ、食料に係る消費者の情報処理能力に影響を与えたと考えられる。したがって、従来計画していた米を対象とした購買行動分析に加え、消費者の家計簿データも新たに用いることで、COVID-19の食料消費行動も合わせて検討し、情報処理能力の影響を包括的に検討することとした。本年度は、消費者の家計簿データを整備し、それを用いた分析を中心に行った。パンデミックの初期に日本で生じたトイレットペーパー不足のデマに反応した人をヒューリスティックな情報処理を行う人として定義し、そうした人々のトイレットペーパーとは無関係な食品の消費行動に与えた影響を検討した。検索データから作成したパニックを示す指標の推移と食料消費の関係を検討したところ、デマに反応してトイレットペーパーを多く購入した人は、パニックが生じている時期に食品を多く購入する傾向があった。特に、生鮮食品より貯蔵可能な食品を多く購入する傾向があり、またその中でも加工食品より主食の増加が大きかったことが分かった。特に、米については増加の程度が他の主食よりも大きく、トイレットペーパーの不足がデマであることを感知できず、米をはじめとした食品など他の品目にも波及することを懸念した結果生じたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
利用するデータセットを追加したことにより、そのデータセット整備及び分析作業に時間を要した。また、小売店の立地データを作成にも多くの時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題に用いるための大きなデータセットを新たに追加したことで、分析作業を含めたマネジメントの複雑性は増したものの、データや分析は比較的堅調に進んでいる。分析作業やその精緻化、論文化について引き続き進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度も新型コロナウイルス感染症の蔓延により、国内学会のオンライン化及び国際学会への対面での出席ができず、当初予定の通り旅費を中心に支出することが難しかったため。次年度以降の国内外の学会出張の可否は不確実であるが、現時点では、論文投稿に係る費用や図書・資料の購入費用に充てることを計画している。
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Research Products
(1 results)