2022 Fiscal Year Research-status Report
Distance reconsideration in new trade theory: Empirical study in the agricultural sector
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20K15610
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
池川 真里亜 麗澤大学, 経済学部, 助教 (20786553)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 農産物貿易 / 新貿易理論 / 距離 / 非物理的距離要因 / 阻害要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,新貿易理論における非物理的距離の概念について,その理論的な意味づけを再検討し拡張することを目的としている. 従来の新貿易理論を用いた研究では,広義での輸送費用を引き下げる,あるいは引き上げる,国境やFTA,共通言語などの要因が,非物理的な「距離」,すなわち非物理的距離要因として用いられてきた.特に農産物貿易においては,農産物の財の特徴として,財の質の低下速度が速く,重量あたり単価が低いために相対的に輸送費用が高い,等の理由から,他産業と比較しても,最も距離のもつ意味が重要である. 本研究では,非物理的距離要因に着目し,非物理的距離要因について理論的に検討する.具体的には,非物理的距離要因が,物理距離換算でどの程度離れた場合と同じくらいの影響をもつのかを検証するために,非物理的距離要因を物理距離に換算して定式化するフレームワークを構築し,非物理的距離要因のうち,何が最も貿易の阻害要因となるかを明らかにする. 2022年度は,物理距離のみを距離要因として用いた分析のベースラインとなるモデルを構築し,比較的宗教上の理由などで貿易が制限されることが少ない緑茶を対象としてプロトタイプモデルの分析を行った.また,この分析結果を27th Pacific Regional Science Conferenceにて報告を行い,そこでの討論を踏まえて論文の執筆を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は,2021年度におこなったベースモデルの再検討を行い,緑茶をプロトタイプとした実証分析を行った.物理距離と固定効果を同時に導入した形へと拡張を行い,緑茶については,ある程度理論モデルと整合的な推定結果を得ることができたため,その結果について海外学会での報告を行った.そこでの議論を踏まえた上で内容を再検討し,現在ベースモデルについての論文を執筆中である.同時に,このプロトタイプモデルをベースとして,当初予定していた,非物理的距離要因が,物理距離換算でどの程度離れた場合と同じくらいの影響をもつのかを検証するための,非物理的距離要因を物理距離に換算して定式化する試みを現在行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は当初の予定通り,物理距離のみを距離要因とした分析をベースラインとし,非物理的距離要因を距離要因の一部として導入した場合,ベースラインとどの程度の差異が生じ得るかを検証する.この比較により,あるひとつの非物理的距離要因,例えばFTAの締結が,二国間貿易に対してどの程度の影響を及ぼし得るのかを,要因ごとに検証する.
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Causes of Carryover |
2022年度も,新型コロナウイルスの世界的な流行の影響があまり改善せず,対面開催を予定していた海外学会等もオンライン開催となるなど,旅費として計上していた助成金を使用していない. また2023年度も,分析に使用していた貿易等に関するデータベースのライセンス(年間契約)およびArcGIS(年間契約)について,再度購入申請をする予定である.
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