2020 Fiscal Year Research-status Report
消費者行動を考慮した食品廃棄低減化システムの検討-ミルクゲームを活用して-
Project/Area Number |
20K15611
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
佐藤 みずほ 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (80738683)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ライフスタイル / 消費行動 / 食品廃棄 / 環境意識 / Food Related Lifestyle / アンケート調査 / サプライチェーン / ゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,Step1~Step3で構成されており,今年度は,特にStep1の多様化する消費者の消費・廃棄行動分析について行った.消費者の消費・廃棄行動は,消費者の食への意識や能力,置かれた環境,ターゲット行動などによって異なる.そこで,まず,食に関するライフスタイルに基づいて消費者の分類を実施した.次に,食品廃棄行動に影響を与える「購入」, 「保存・管理」,「調理」,「処理」に関する能力,「環境への意識」などから消費者を分類した.具体的には,まず一般消費者を対象に,①デモグラフィックな属性(性別,年齢,職業,世帯構成,世帯年収,最終学歴など),②食のライフスタイル(Food Related Lifestyle: FRL)についての質問項目,③食品廃棄に関する傾向(Food Waste Behavior: FWB)に関する質問項目,の3つからなるアンケート調査を行った.次に,②および③のそれぞれについて統計的な分析を行い,消費者をいくつかのセグメントに分類し,①の属性も参照しながら,各セグメントの特徴付けを行った。最後に,②のセグメントと③のセグメントのクロス集計を行い,両者の関係について明らかにした。その結果,FRLについての分析によって,消費者を6つのセグメント,FWBについての分析によって,消費者を4つのセグメントに分類することができた.例えば,FRL-Segment 1(食に関心がいない)に属する人の多くは,FWB-Segment 4(食品廃棄に気を遣わず宅配をよく利用)に属しており,食品廃棄に意識を向けることが重要である.この調査で得られた結果を消費行動のモデル化に反映させる予定である.また,この結果は,日本食生活学会に論文を投稿中である.さらに食品の期限が食品サプライチェーンに与える影響について,Beer Distribution Gameを基にゲームを考案し実装した結果を論文にまとめて,発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大予防のため,自粛生活など消費者行動に様々な影響が見られた.また,食行動にも変化がみられた.本研究は,できるだけCOVID-19の影響を避けて調査を実施する必要があったため,消費・廃棄行動分析のアンケート調査開始時期がやや遅れたものの,おおむね順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,今回得られた消費・廃棄行動の分類(セグメント)結果から,消費者の購買行動の選好をモデル化し,消費者の購買行動の選好モデルをミルクゲームに盛り込む予定である.また,食品小売業の方へのインタビュー調査を実施し,店頭でのオペレーションについて実態調査を行い,その結果もミルクゲームの中に盛り込む予定である.そして,消費者のセグメントの違いによる食品廃棄への影響について調べるためにゲームの実装実験をする予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大予防のため,実態調査や国内外で開催される学会に参加することが困難であったため,次年度への研究費の使用が生じた.使用計画としては,国内調査の実施,データのモデル化,インタビュー結果の資料調整費,ゲームの実験費として使用する予定である.
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