2022 Fiscal Year Research-status Report
消費者行動を考慮した食品廃棄低減化システムの検討-ミルクゲームを活用して-
Project/Area Number |
20K15611
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
佐藤 みずほ 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (80738683)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食品ロス / 食品廃棄 / 商習慣 / ミルクサプライチェーン / ゲーム / 意思決定 / 消費者行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国の食品廃棄物量は大量であり,2019年度の推計では,流通段階(製造業者,卸売業者,小売業者,外食産業)で1756万トン,消費者段階で754万トン,合計年間2510万トン発生している.また,特に食べられるにも関わらず廃棄される食品ロスの量は流通段階,消費者を合わせて 570 万トン(2019年度)とされており,特に食品ロスを低減化することは重要である.食品ロスの発生要因の1つとして日本の食品流通業界には1/3ルールという商習慣がある.これは,製造から消費・賞味期限までの期間を3等分し,製造から1/3の時点に小売店への納品期限,2/3の時点に消費者への販売期限をそれぞれ設けるものである.このルールのために,流通過程で食品が過剰に廃棄されている原因とされている.そこで,本研究ではこの商習慣に焦点を当てゲームを用いてプレイヤーの意思決定と廃棄について検討している.本研究はStep1~Step3で構成されており,今年度は,Step2の続きを実施した.昨年,実施した予備的実装実験の結果を踏まえてゲームを改善し,大学生を対象に食の商習慣である1/3ルールとそれ以外のルール(1/2ルール)において実験を行った.その結果,特に牛乳メーカー側においては,ルールが緩和すれることにより牛乳の廃棄量は減少していた.しかし,食料品スーパー側は,ルールが緩和しても廃棄量に変化があまり見られなかった.このことは,食料品スーパーが廃棄を意識しすぎて販売量が全体的に抑えられてしまった可能性が示唆される.したがって,売上を考慮しながら食品廃棄の発生抑制ができるルールを検討する必要がある.また,消費者の食のライフスタイルや廃棄行動に関するアンケートを実施した.そして,その結果から消費者をセグメントし,それぞれの消費者にあった食品廃棄低減化方法について検討し,実験を行う上での消費者行動や対象となるプレイヤーの参考とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大予防のため,実装実験が行いにくい状況ではあったが,オンライン(Zoom)と対面を組み合わせて行うことができた.ゲームの改善については何度か実施をしたため,やや進行が遅れているが,概ね順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
今回の実装実験からルールや進行上の課題もある程度改善したので本実験を実装する予定である.また,ゲームのルールも1/3ルール,1/2ルール及び商習慣無しの場合を想定して実験し,プレイヤーの意思決定と廃棄,そして経済面(売上)への影響についても分析を実施する予定である.さらにエージェントを用いても実験し,人とエージェントの違いなどについても検討する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大予防のため,実態調査や国内外で開催される学会に参加することが困難であったため,次年度への研究費の使用が生じた.使用計画としては,ゲームの実験費,データの分析費,調査費,謝礼,国内外学会発表などとして使用する予定である.
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Research Products
(7 results)