2021 Fiscal Year Research-status Report
農業資源の持続可能性に関する長期的政策課題に関する研究
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20K15612
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西原 是良 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (20714893)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 農業農村整備事業 / 農業政策 / 土地改良区 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、本研究の課題の2番目として挙げた「農業農村整備事業予算の変動とその要因の解析」についての研究が進んだ。 農業農村整備政策の予算は2012年以降急拡大し、農業農村整備事業費は1993年と2010年の2度にわたり、過去の予算実績とは大幅に異なる変動を示した。特に2015年以降はTPP・FTA対策としての事業予算の伸びが見られるが、これは1993年のガット・ウルグアイラウンド対策費を彷彿とさせる。しかし、両者の類似性について比較研究は未だなされていない。この点について、両者には補正予算による積み増しという政策形成過程上の強い類似点があることに着目した分析を実施した。 この特異な政策決定手法について、公共事業費の枠組みと政治的ファクターによる裁量的予算確保が行われてきたことを説明した。予算についてはデータの収集が比較的容易であり、コロナ禍による行動制限下でも分析を実施することができた。 土地改良区の実態調査については、十分な実行環境が整わなかったため、十分な調査が行えなかった。行動制限のないタイミングでの農業生産者組織や行政に対する聞き取り調査を実施したため、それらについての研究を整理し、持続可能な農村社会のあり方についての研究成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍において、当初想定していた土地改良区に対する実態調査が十分に実施できなかった。今後も感染状況等を踏まえつつ、可能な限り現地調査を計画していくこととしている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の核心として「農業農村整備の持続可能な戦略はどのようなものか?」という問いをあげ、「経済学的分析と、学際的な知見を活かし、制度面で必要とされる対応策を具体的に検討すること」を、その解決の方法論としている。この点については、行動制限の有無に関わらず変更はない。学際研究としての溜池等農業水利施設の保全に関する現況や劣化進行についての分析や、気候変動の水稲生産に与える影響の解析などを引き続き行いつつ、現地調査の再開と分析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の元での行動制限にともない、現地調査計画を実施できなかったため。当初旅費として計上していたものを使用することができなかった。
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Research Products
(8 results)