2022 Fiscal Year Research-status Report
農業資源の持続可能性に関する長期的政策課題に関する研究
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20K15612
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西原 是良 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (20714893)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 農業農村整備事業 / 農業政策 / 土地改良区 / 社会水文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究の目的である規模農業経営体の展開や農地の集約状況を整理し、農業農村整備事業や農村活動との関連性・農業農村整備政策と土地改良組織の長期的な在り方・農業農村整備政策に関連する実証的な政策評価の3点について、レビュー論文を作成し、日本におけるこれらの研究動向の整理を行なった。研究計画における課題2:農業農村整備事業予算の変動とその要因の解析および課題3:組織改革や資産形成に取り組む土地改良区の実態調査について、自分の研究を先行研究からの流れに位置づけた上で、農業用水を水循環を含む流域マネジメントの一環として整理することの重要性を論じることができた。 また、関連して防災の視点から農業用溜池を評価する論文や、地域の農業資源の管理主体でもある農業の担い手を育成する機関としての農業高校の制度的位置付けを調査した論文も発表した。 土地改良区の実態調査については、十分な実行環境が整わなかったため、十分な調査が行えなかった。行動制限のないタイミングでの農業生産者組織や行政 に対する聞き取り調査を実施したため、それらについての研究を整理し、持続可能な農村社会のあり方についての研究成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍において、当初想定していた土地改良区に対する実態調査が十分に実施できなかった。今後も感染状況等を踏まえつつ、可能な限り現地調査を計画して いくこととしている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の核心として「農業農村整備の持続可能な戦略はどのようなものか?」という問いをあげ、「経済学的分析と、学際的な知見を活かし、制度面で必要と される対応策を具体的に検討すること」を、その解決の方法論としている。学際研究としての溜池等 農業水利施設の保全に関する現況や劣化進行についての分析や、気候変動の水稲生産に与える影響の解析などを引き続き行いつつ、現地調査の再開と分析を進めていく予定である。 特に気候変動が水稲稲作に与える影響の評価については、本研究の発展的課題と捉えており、研究計画を順調に進める要素であると考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による現地計画の遅れが生じているため、過去年度に計画していた旅費の執行を中心に遅れが出ている。今年度できる限り出張によって経費執行をおこないたい。
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Research Products
(4 results)