2021 Fiscal Year Research-status Report
レシートビッグデータを活用した「パーソナル・ナッジ」による野菜摂取拡大効果の検証
Project/Area Number |
20K15615
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Research Institution | Policy Research Institute, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries |
Principal Investigator |
佐々木 宏樹 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (00371013)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 野菜消費 / ランダム化比較試験(RCT) / ナッジ / レシートデータ / 行動変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の野菜消費量は、食習慣の欧米化などを背景に約30年前から減少傾向が続く。成人1人当たり摂取量は1日平均280グラム程度で、国が推奨する目標の1日350グラムを下回る。農林水産省は、野菜摂取を呼び掛けるポスターなどで啓発を続けているものの、積極的な消費拡大には結び付いていない。他方、コロナの影響により、健康、栄養バランス、環境、持続性などの意識は高まり、また家庭内調理は増加した。 そこで、本研究では、家計簿アプリから収集されたレシートデータをアウトカムとし、野菜購買を促す効果的な情報発信(ナッジ)のあり方を探るため、ランダム化比較試験 (Randomized Controlled Trial、RCT)の手法を使ったフィールド実験を実施した。 これまでの研究で用いられることが多かった販売データであるPOSやID-POSは、JANコードのない生鮮品のデータをカバーしておらず、またユーザー軸での購買履歴の把握や店舗横断的な視点での分析ができないことが課題であった。このため、本研究では、家計簿アプリを通じて、レシートデータ、またレシートがない場合は手入力データによって長期間購買データを収集し、日常の買い物行動に情報提供(ナッジ)が与える影響を分析するデザインとした。加えて、本研究では、上記レシートから取得する野菜の購入量や購入額のデータだけでなく、野菜の摂取量を申告データ(「野菜料理摂取皿数」)から取得する実験デザインとした。 R3年度に当初の計画通り実験が終了し、対照群と2つの介入群の実験データを収集することができた。本研究により、情報提供(ナッジ)が購入量/額に与える影響に加え、摂取量への影響についても考察することが可能となる。また、消費者の様々な属性情報と合わせて分析することで、詳細な消費者行動を解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り実験を実施し、データ収集が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
データのクリーニングを行い、情報提供(ナッジ)が購入量/額や摂取量へ与える影響を明らかにし、また、豊富な消費者の属性情報と合わせて、効果の異質性を分析する。実験後のデータも取得したことから、効果の持続性についても分析する。
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Causes of Carryover |
最終年度の成果報告(学会関連)などに使用予定。
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Research Products
(2 results)