2020 Fiscal Year Research-status Report
マルチレベル・ステークホルダーによる畦畔管理システムの構築
Project/Area Number |
20K15617
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
木原 奈穂子 鳥取大学, 農学部, 講師 (40839916)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 畦畔管理 / マルチレベル・ステークホルダー / 地域システム / 共同作業 |
Outline of Annual Research Achievements |
兵庫県丹波篠山市において,ため池の堤防や水路の草刈りだけではなく,個人所有の農地の畦畔の草刈り管理までもを担う,先進的な地縁組織や生産組合に対して聞き取り調査を行い,どのような経緯で畦畔管理組織が設立されてきたのか,活動が継続している要因は何かを確認・検討した.合わせて,それらの組織活動に対して助成を行う丹波篠山市に対して聞き取り調査を行い,活動を支えるために必要となる市行政の体制を確認した.これらの結果から,市町村単位で,自発的な畦畔管理の組織づくりを推進するために必要な要因を検討した.また,これらの調査結果と既存の研究成果から,組織づくりに必要な人材の確保・育成方法や,組織会計のあり方を検討した. 同時に,鳥取県日野郡日南町において,地域住民が地域イベントに際して自発的に行う畦畔管理の実態,および集落が共同作業として行う畦畔管理の実態をそれぞれ調査し,今後の管理のあり方を検討するため,町や町内企業,住民が参画するワーキンググループの設立を構想し,勉強会を開始した.ワーキンググループの勉強会において,畦畔管理を担う多様な人材(マルチレベル・ステークホルダー)の関わり方を検討するため,町内農業者や町行政の畦畔管理に対する取り組みの現状の聞き取り調査を行うとともに,コロナ禍において活動にどのような変化があったかについてのアンケート調査を実施した.また,畦畔管理に対する知識を深めるため,実践マニュアル等を確認することにより,多様な畦畔管理方法を共有し,組織化に必要なノウハウを精査した. これらの調査に加え,組織化に関する文献を調査し,現代的な農業経営における畦畔管理のあり方,農業経営と他組織との連携のあり方を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度に実施を予定していた畦畔管理の事例分析において,新型コロナウイルス感染拡大防止のため,鳥取県外への調査が一時,困難となったため,調査分析ができなかった. また,兵庫県丹波篠山市において設立を予定していた畦畔管理を受託する組織についても,新型コロナウイルス感染拡大防止の措置により,試験運用が困難になり,調査可能な地域での一からの再検討が必要となり,難航している.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため,令和2年度に実施できなかった全国の畦畔管理組織への聞き取り調査を順次実施し,組織の類型化を進める.同時に,調査を行った事例組織および既存の調査先から,多様な人材の関与を進める組織を選定し,アンケート調査を行うことで,畦畔管理を担う組織の組織リーダーに求められる要素や構成員の関わり方といった実態を明らかにするとともに,組織の評価を行う. これらの類型化および組織評価と合わせて,行政単位で畦畔管理の組織づくりを推進する丹波篠山市およびワーキンググループを設立している日南町にて,行政や地縁団体,農業者等への聞き取り調査やアンケート調査を実施し,地域ぐるみでの畦畔管理組織づくりに求められる要件を検討し,組織設立のモデルを検討する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により,聞き取り調査および新規のアンケート調査が困難となったため,それに伴う物品購入,データ収集・整理補助人員への謝金,学会投稿に関する助成金の運用が困難となった. このため,これらに関わる助成金運用を翌年度に繰り越すとともに,データ収集に必要な物品およびデータ収集・整理補助人員を補強し,年度内での研究成果につなげる.
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