2020 Fiscal Year Research-status Report
The Existence Condition of TMR Center with employees
Project/Area Number |
20K15618
|
Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
濱村 寿史 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部 酪農試験場, 研究主任 (70462405)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | TMRセンター / 常勤オペレーター / 人件費 / 事業規模 / 多角化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、常勤オペレーターを雇用するTMRセンターの特徴および酪農経営やコントラクター等との主体間関係の変化を明らかにし、TMRセンターにおいて常勤オペレーター雇用が進展する論理を解明した。結果の概要は以下の通り。 1)常勤の粗飼料生産作業オペレーターを直接雇用する「雇用型TMRセンター」は全て草地型酪農地帯に存立しており、コントラクターの収益形成力が低いとされる道北に立地するセンター、供給頭数(経産牛)700頭以上のセンターが多いという特徴がみられた。 2)雇用型TMRセンターでは、委託可能なコントラクターが存在しない条件下で、設立当初は構成員出役を中心とした粗飼料収穫作業が行われていたが、構成員の出役人数減少に伴い運送業者等の下請企業(受託作業を主業とせず、主に労働力を提供する主体)への外部委託が進展するとともに、従業員の従事者数が増加していた。構成員の出役人数減少、外部委託進展の要因としては、構成員の労働力の高齢化・減少、飼養頭数規模の拡大による構成員の出役困難化、乳価や個体販売価格の上昇によるセンター及び構成員の費用負担力の向上が挙げられた。また、従業員の従事者数増加の要因としては、委託先である下請け業者における労働力不足の顕在化が挙げられた。 3)雇用型TMRセンターは、粗飼料生産オペレーターの冬季の就業機会を創出し、粗飼料生産部門の人件費負担を軽減するために、ヘルパーや除雪、土木工事といった事業を実施していた。 以上から、TMRセンターにおいて常勤オペレーターの雇用が進展した要因として、①構成員の出役困難化、②センター及び構成員の費用負担力の向上、③委託先である下請け業者における労働力不足の顕在化が挙げられる。また、TMRセンターが常勤オペレーターを雇用するためには、一定の事業規模と冬季の就業機会確保のための多角化が必要となることが示唆される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初計画の通り常勤オペレーターを雇用するTMRセンター10センター程度を対象とした聞き取り調査を実施し、常勤オペレーターを雇用するTMRセンターの特徴および酪農経営やコントラクター等との主体間関係の変化を明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、事業規模や多角化の状況が異なる常勤オペレーターを雇用するTMRセンター5センター程度を対象として原価分析を実施し、常勤オペレーター雇用がサイレージ・TMR原価および構成員の飼料費に及ぼす影響を明らかにするとともに、TMR原価とTMRセンターの事業規模や事業多角化との関係を検討する。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、出席予定であった学会、研究会が中止またはweb開催となったため、旅費の執行額が当初計画を下回った。次年度使用額は学会、研究会出席のための旅費に充てる。
|
Research Products
(1 results)