2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of symbiotic systems with wildlife in urban areas
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20K15621
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岸岡 智也 金沢大学, 先端科学・社会共創推進機構, 博士研究員 (10793028)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 野生動物保護管理 / 市街地 / 利害関係者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の研究目的に基づいて以下のような成果を上げることができた。 第一に、野生動物の出没や被害、被害対策に対する住民の意識の地理的差異の現状を解明すべく、ツキノワグマを対象獣種としてアンケート調査を実施した。調査は石川県の全市町村を対象とし、2000人を対象としたインターネット調査により行った。その結果、住民のツキノワグマの生息や出没に対する危機意識や出没したクマへの対応方法に対する意識、行政の対応への評価などについて地域差異が存在することが明らかとなった。また、これらの住民意識の地理的差異は回答者の居住地におけるツキノワグマの生息状況や近隣での出没状況、ツキノワグマの生息との心理的距離感などと関係があることが示唆された。 第二に、里山の自然・生物資源を利用したツーリズムの展開方策について提言を行うことを目的として、野鳥の生息調査、バードウォッチングツアーの試行を通じた地域住民組織による資源活用の体制構築における地域活性化効果の特徴と課題について参与観察を行った。具体的には野鳥の生息調査、SNSを活用した知識向上の支援、観光ツアーの試行などを住民組織との共同により実施、住民及び参加者の反応を記録した。その結果、イベントの試行やSNSの活用により、住民の知識向上や地域内の宿泊施設など参画者の拡大などの効果が見られたが、さらなる知識向上やさらなる収益化を見据えたメニュー開発において課題があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、各利害関係者へのヒアリング調査を予定通りに実施することが困難であった。予定していたアンケート調査についてはインターネット調査を活用することにより実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
野生動物被害対策に関わる各利害関係者へのヒアリング調査を実施し、市街地における野生動物被害対策の利害関係者の種類と連携状況について把握し、農林業被害対策の事例と比較から、市街地に特徴づけられる野生動物被害の発生特性と、対策にまつわる多様な利害関係者の関与の在り方の可視化を目指す。 その結果と、本年度に実施したアンケート調査による住民の野生動物の被害や対策への意識の把握と合わせて、市街地周辺地域におけるより効果的な野生動物との共生に向けた主体間連携のあり方について提言を行う。
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