2021 Fiscal Year Research-status Report
農村地域の持続的発展に資する稲副産物を活用した緑化基盤材の開発
Project/Area Number |
20K15624
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
阿部 由麻 (島本由麻) 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70826601)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | Acoustic Emission / 水ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,農業副産物である「もみ殻」や「稲わら」を活用した緑化基盤材の開発に取り組むとともに,AE(Acoustic Emission)法を用いた植物の水ストレス評価手法を構築することを目的とする. 2021年度においては,2020年度に引き続き,AE法を用いて植物起源弾性波の検出に基づく植物生理状態(水ストレス状態)の非破壊計測法の開発を進めた.AE法による植物の水ストレス評価を実用化するためには,膨大な検出波の中からノイズ波と水ストレスによる気泡運動に起因するAE(突発型AE)を正確に判別し,突発型AEのみを抽出する必要がある.2020年度においては,ランダムフォレストを用いることで突発型AEとノイズ波を正解率85 %以上の高精度で自動分類できることが明らかにされている.しかし,他の分類器を活用した事例はほとんど確認できていない.そこで2021年度においては,ランダムフォレストのほかにロジスティック回帰,サポートベクターマシン(以後,SVMと示す),アンサンブル学習を用いて突発型AEの自動分類を試み,分類精度と処理時間の観点から,最適な分類器を明らかにした. 検討の結果,非線形SVMとアンサンブル学習(ランダムフォレスト・ロジスティック回帰・非線形SVM)において,正解率が87%以上となり,適合率と再現率との差が小さいことが示された.加えてアンサンブル学習とランダムフォレストにおいて1,200秒以上の長い処理時間がかかることが示された。以上より,精度に加えて処理時間も考慮すると,非線形SVMが最適な分類器であると判断された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の内容をさらに発展させ,これまで課題であったノイズ波を高精度かつ短時間で判別できる学習器が明らかになったことから,AE法による植物の水ストレス評価法の実用化のために研究を進められたと考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
もみ殻と稲わらを活用した緑化基盤材の開発において,繊維の混和においては繊維の高強度化やマトリックスとの界面付着性の向上が課題として挙げられる. このため,稲わらのオゾン処理を試みる.オゾン濃度が異なるケースを複数用意し,稲わらの引張強度試験を実施することで,オゾン濃度と引張特性との関係を明らかにする.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスのため,現地調査の実施回数が少なかったことに加えて,一部物品について納品が遅れているため次年度繰り越しとした。2022年度においては2021年度に実施できなかった現地調査に加えて,室内実験を中心とした実験を計画する。
|