2021 Fiscal Year Research-status Report
Deep learningとドローンを用いた空間的圃場診断技術の開発
Project/Area Number |
20K15631
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
森下 瑞貴 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 研究員 (90845637)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 土壌診断 / UAV / 機械学習 / 地理情報システム / リモートセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
地力ムラや生育ムラに応じた的確な圃場管理のため、ドローンを活用した面的な圃場診断技術が注目されている。また、高い地上分解能が特徴のドローン画像は、人工知能(AI)を駆動するためのビッグデータとしての活用も期待されている。ドローンを活用したAI駆動型の圃場診断が実現すれば、圃場管理の省力化や適正施肥による低コスト化等の効果が見込め、農業従事者人口が減少している現代において重要な技術となる。 一方で、ドローンとAI技術を用いた圃場診断技術における課題は、作物の生育程度や土壌肥沃度に関するグラウンドトゥルース(地上で取得できる実測値)の点数が不足することである。一般に、AIを構築するために必要な学習データの数は数千~数万点が理想的であるが、これに匹敵するグラウンドトゥルースデータを通常の調査で取得することは、実地調査や試料分析にかかる労力を考えると現実的ではない。 そこで本研究では、①土壌分析データの拡張によるビッグデータの構築、②携行型の電磁誘導探査装置による圃場内数千点における土壌情報の取得、の2つのアプローチからデータ不足を解消し、ドローンとAI技術を効果的に活用した空間的な土壌特性の診断技術を開発する。 令和3年度までの主な成果として、地上で取得した土壌診断値が一定範囲内(数m程度)で均質とする仮定に基づいたグラウンドトゥルースデータの拡張法を考案し、技術論文として公表した。また、開発技術の利便性を高めるため、土壌調査前のドローン空撮に基づく土壌診断地点の選定手法の開発にも取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、土壌試料採取、電磁探査、ドローン空撮については実施が完了している。土壌試料については、各種理化学性指標についての分析値も得られている。したがって、今後の機械学習モデルの構築および最適化の検証に特段の支障はない。 これまでに開発したグラウンドトゥルースデータの拡張手法については、技術論文としてシステム農学誌に掲載された。また、当該成果の利用を農業現場で促進するための補助的な技術として、ドローン空撮画像による土壌診断地点の選定手法の開発にも着手している。同技術の開発は当初の研究計画に含まれないものだが、空間的な土壌診断の効率化を促すと期待されるため、本研究課題の推進に大きく貢献するものである。 以上の状況から、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2~3年度に収集・作成したデータセットをを用いて、ニューラルネットワークをベースとした深層学習アルゴリズムやランダムフォレスト等の機械学習アルゴリズムを用いた土壌特性の面的推定を実施する。各モデルの性能を比較することで効果的な圃場診断手法を提案する。 また、得られた成果については、学術論文の投稿、特許出願による知財化、国内外の学術会議における研究発表を予定している。国際会議においては、昨今の国際情勢およびCOVID-19の流行状況に応じてオンラインでの発表とするケースも想定している。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行状況を鑑み、出張を伴う学会発表を行わなかったため旅費の支出を行わなかった。R4年度においては数件の学会発表および論文投稿等、主に成果の公表に関わる支出を予定している。
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