2022 Fiscal Year Research-status Report
Study of synergies and trade-offs between ecosystem services with cattle grazing in forested area
Project/Area Number |
20K15639
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山崎 由理 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00826696)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 飼料成分 / 粗タンパク質 / 可消化養分総量 / 林間放牧 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では、林間放牧による生態系サービスの定量的評価および生態系サービスのシナジートレードオフの関係を明らかにすることを目的とする。2022年度は、放牧地および採草地の牧草の成分分析を行なった。対象圃場は、有機畜産JASの認証を受けているため、農薬および化学肥料は使用されていない。放牧地では、牛が採食しない雑草の掃除刈りや、数年に一度牧草の種子散布が行われる。採草地では、6月および9月に牧草が収穫されるほか、定期的な種子散布が行われている。いずれも、草地更新などの積極的な管理は行われていない。放牧地および採草地ともに、複数種の野草や雑草が侵入しているが、牛が採食している植生の分析を行うために牧草だけでなく雑草や野草も含めて刈取を行なった。なお、十勝農業協同組合連合会に飼料分析を依頼した。分析項目は、水分率、タンパク質、繊維性炭水化物、非繊維性炭水化物、脂肪、灰分、ミネラル、エネルギーおよび硝酸態窒素である。 飼料分析の結果、複数の放牧地および採草地において成分に大きな違いは見られなかった。十勝農協連が公開している飼料の成分目標と比較すると、粗タンパク質は15.1~23.1%といずれも目標値の10%以上を満たした。繊維性炭水化物は60%以下が目標値とされており56.2~57.7%と目標値を満たした。カリウム、カルシウムおよびマグネシウムの当量比は1.44~2.07となり、適正値の2.2以下を満たした。ただし、採草地のみ1.44と放牧地と比較して低い値となった。可消化養分総量は飼料中に含まれるエネルギー量を示し、60%が目標値とされている。対象地では59.1~67.2%と1つの放牧地を除いて目標値を満たした。この結果から、林間放牧では慣行の放牧地のような積極的な管理は実施されていないものの、放牧地および採草地の粗飼料成分は適切な状態を維持していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度からのコロナ対策の影響を受けて、当初予定と比較すると現地調査でのデータ取得が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度が本研究の最終年度であるため、これまでの研究成果をまとめる。また、放牧地および採草地の植生調査および飼料成分の分析を継続し、経年的な変化を観測する。
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