2021 Fiscal Year Research-status Report
鳥類の精子貯蔵管をモデルとした精子選択メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K15648
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松崎 芽衣 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (70848085)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | QTL-Seq / マイクロサテライトマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、最後に交尾した雄の精子が受精に有利となるlast male sperm precedence (LMSP)の分子メカニズムを、ウズラを用いた研究により明らかにすることを目的としている。当初の予定では、ゲノム編集を利用して精子特異的タンパクの遺伝子へ蛍光タンパク遺伝子を挿入することにより精子を蛍光標識し、得られた蛍光標識精子を用いて精子を個体ごとに識別する予定であったが、現時点で蛍光タンパクをノックインしたウズラ個体は得られていない。このため、2021年度はマイクロサテライトマーカーを利用した個体識別により父性鑑別を行う方法を検討した。また、2020年度に中片部長が長いウズラ精子が受精に有利になることを明らかにしたため、2021年度はウズラ精子中片部長の長さを決定する量的形質遺伝子座(QTL)を同定するための実験を実施した。 ウズラのZ染色体上にマイクロサテライトマーカーの増幅用プライマーを設計し、ウズラゲノムDNAを鋳型としたPCRを行い増幅産物のバンドパターンを調査した結果、個体識別に用いるプライマー候補を3セットに絞り込んだ。一方、短い中片部長をもつウズラ系統と長い中片部長をもつウズラ系統を交配してF2家系を作出し、QTL-Seq解析を実施している最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
蛍光タンパク遺伝子導入による精子の識別は難航しており、これを代替する方法の検討が必要である。また、マイクロサテライトマーカーを利用して父性鑑別を行うための基盤を整えつつあるが、当初の計画からはやや遅れている。しかしながら、当初の研究計画にはなかったが、ウズラ精子の受精に関与する形質として精子中片部長を見出しており、これを決定する遺伝子領域の調査は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はマイクロサテライトマーカーを用いた父性鑑別法を早期に確立するとともに、LMSPに影響を与える要因およびその効果を調査する予定である。現状、蛍光タンパク導入による精子の識別が難航しているため、今後は複数回の交尾後に産まれてくる雛の父性鑑別によるLMSPの要因調査を重点的に行い、精子貯蔵管におけるLMSPの調査は蛍光色素標識精子を用いて行う等の対応を検討する。
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Causes of Carryover |
マイクロサテライトマーカーを利用した父性鑑別を行うためのフラグメント解析が予定よりも遅れたため、これに計上予定だった物品費分の次年度使用額が生じた。また、新型コロナウイルス感染症の影響により出張等に計上予定だった旅費分の次年度使用額が生じた。
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