2021 Fiscal Year Research-status Report
GLP-2分泌を刺激する酪酸を用いた新たな黒毛和種繁殖牛の飼養管理
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20K15649
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲生 雄大 九州大学, 農学研究院, 助教 (70868992)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 黒毛和牛 / 初乳 / 移行乳 / 消化管ホルモン / 糖代謝 / グルカゴン様ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、周産期(分娩予定日60日前から分娩後4日まで)における黒毛和種繁殖メス牛(母牛)への酪酸ナトリウム(NaB)給与が、母牛の飼料摂取量、体重、グルコース、βヒドロキシ酪酸、グルカゴン様ペプチド(GLP)-1および2(GLP-2)の血中濃度(1)並びに乳中濃度(2)に及ぼす影響を検討するとともに、出生した仔牛の4日齢時までの発育および栄養代謝機能に及ぼす影響(3)を解析した。(1)周産期のNaB給与は母牛の分娩前および分娩後における乾草摂取量を増加させた。NaB給与は血漿GLP-2濃度に影響しなかったが、分娩前の血漿グルコース濃度および分娩後の血漿GLP-1濃度を増加させた。(2)GLP-1およびGLP-2は、ウシ初乳中に血漿と比較し高濃度で存在していた。また、乳中GLP-1およびGLP-2濃度は、他の乳中ホルモンと同様に、分娩後日数の経過に伴い減少した。初乳・移行乳構成成分は母牛へのNaB給与による影響を受けなかった。(3)NaBを給与した母牛から出生した仔牛において、血漿グルコースおよびインスリン様成長因子1(IGF-1)濃度は0~3日齢および4日齢の代用乳給与後で高く推移した。以上のことから、周産期における黒毛和種繁殖メス牛へのNaB給与は、母牛の血漿グルコースおよびGLP-1濃度だけでなく、仔牛の糖代謝やIGF-1濃度にも影響することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度で、予定していた全てのサンプリングおよび母牛のサンプル解析を完了した。また、仔牛のサンプル解析も順調に進んでおり、次年度で予定通り完了できると思われる。 また、初乳・移行乳中GLP-2濃度の結果をもとに原著論文を一報執筆し、すでに受理・掲載されている。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、計画通りに推進し、当初の目的を達成する予定である。
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Research Products
(1 results)