2020 Fiscal Year Research-status Report
Assessment of cardiorenal syndrome using ultrasound in dogs: focus on right ventricular function and renal congestion
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20K15657
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
森田 智也 岩手大学, 農学部, 助教 (60862282)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 犬 / 心腎連関 / 超音波検査 / 腎内ドプラ法 / 右心室機能 / 肺高血圧症 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年人医療においては心腎連関という心臓と腎臓の密接な関連が明らかとなってきており、心臓と腎臓はお互いに足を引っ張りあって寿命を縮めている。さらにその主要な要因として腎臓のうっ血が関与していることが知られている。腎うっ血を評価する方法として超音波検査を用いた腎静脈波形解析が注目されており、心臓病患者において波形パターンの変化(連続性→不連続性パターン)が見られた場合には寿命が短かいことがわかっている。 一方で犬においては心腎連関に関しては知見が限られており、腎静脈波形解析に関しては全く存在しない。そこで本研究では、心臓病犬において腎機能低下が実際に起こっているのか、腎静脈波形解析は可能か、腎静脈波形パターンが変化している症例は存在するのか、変化しているならどのような要因によって引き起こされるのか、を明らかにすることを目的としている。そのために動物病院に来院された心臓病犬および作成したモデル犬を用いて上記の課題を明らかとする。 これらのことが明らかとなれば犬における心腎連関に関する新たな新たな知見が得られ、腎うっ血を評価する方法を確立することができ、予後推定や治療選択などへの応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はまず犬において腎静脈波形解析が実施可能かを明らかにするため、健常犬を対象として腎静脈波形解析の検者内変動を検討した。結果として良好な再現性が得られたため臨床応用可能と判断した。 次に様々な心臓病の臨床例を用いて実際に腎機能低下が引き起こされているかを検討したところ、今回対象として症例では心臓病の進行に伴い、腎機能低下が起こってはいなかった。これには症例数が少ないことが影響しているかもしれないため、さらなる症例の集積が必要と考える。 また臨床例を対象として心エコー図検査による右心系評価に加えて腎静脈波形解析を実施した。対象となったのは34例であり、多くの心臓病犬は腎静脈波形は連続性パターンを呈していた。一方で、一部の右心室機能が低下し右心房が拡大しているような症例(6例)では腎静脈波形は不連続性パターンを呈していた。そしてその中には早期に死亡する症例も存在していた。 これらの結果より腎静脈波形解析は犬において実施可能であり、右心室機能や右心房拡大に影響を受ける可能性があり、心腎連関を捉えることができる可能性が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き心臓病犬の症例、特に腎静脈波形パターンが異常を示す症例の集積を継続していく。また同時に症例の追跡調査を開始し、腎静脈波形パターンと寿命が関連しているかを調査していく。 さらに慢性に右心室に負荷がかかる肺高血圧症モデル犬を作成して、侵襲的だが正確に血行動態を測定可能な心臓カテーテル検査指標との関連を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
前年度はコロナ禍であり、学会がオンラインのみの開催であったため、旅費がかからなかったため。本年度より学会活動が解禁されてきた場合には積極的に参加することで旅費は予定通り使用することができると考える。
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