2021 Fiscal Year Research-status Report
ロタウイルスの種間伝播動態の解明と農場への病原体侵入リスク指標への応用
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20K15663
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
西山 祥子 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (90817058)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ロタウイルス / 種間伝播 / 野生動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はロタウイルスの感染を指標として、農場への病原体侵入のリスク評価を行うことを目標としている。今年度は岐阜県の猟友会の協力を受けて、5匹のアライグマ、1匹のテン、1頭のハクビシン、2頭のイノシシ、5匹のタヌキ、3頭のキツネ、23頭のシカの糞便からRNA抽出後、RT-PCRにてロタウイルスのVP4遺伝子の検出を試みた。その結果、ロタウイルスの感染は認められなかった。 さらに動物病院から提供を受けたネコの糞便45匹、イヌの糞便30頭を同様に解析したところ、1匹の犬からロタウイルスのVP4遺伝子を検出することができた。現在、他の遺伝子分節についても解析を行っているところである。 また野生動物が保有しているウイルスを調べるために、Torque teno virus(TTV)の感染状況を解析した。上記野生動物の糞便からDNA抽出後、TTVのユニバーサルプライマーを用いてPCRを行った。4/5頭のアライグマ、3/5頭のタヌキ、3/3頭のキツネでTTV遺伝子陽性であった。その内、4株のTTVの全長遺伝子を増幅した。ORF1遺伝子配列を解析したところ、2頭のタヌキから検出されたTTVと相同率が高かったのはパンパスギツネ(46.6%)、イヌ(44.3%)由来のTTVであった。また、2頭のキツネから検出されたTTVと相同率が高かったのはハクビシン(65.2%)、カニクイイヌ(55.2%)由来のTTVであった。本研究から日本のタヌキとキツネに感染している新規TTVの存在が明らかになった。今後、さらにウイルス株を増やして遺伝子解析を行い、食肉目の野生動物におけるTTVの分布を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
産休により研究を停止した時期があった。 ロタウイルスの感染率が予定よりも低かった。そのため、サンプル採取を行う地域をさらに拡大させて、更なる解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
糞便サンプルを採取する地域を拡大させる予定である。そして、ロタウイルスの感染率が高い地域を決定する。さらにその地域に存在する牧場でのロタウイルスの感染状況を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
産休により研究を停止する時期があった。 解析するサンプルの数が予定より少なかった。次年度はさらにサンプル数を増やす予定である。
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