2021 Fiscal Year Research-status Report
外来タンパクによる細胞機能への影響ーGFP導入が引き起こす不妊の原因解明ー
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20K15668
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
小澤 秋沙 麻布大学, 獣医学部, 講師 (80803171)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精子形成 / GFAP-EGFP |
Outline of Annual Research Achievements |
不妊であることが確認されたGFAP-GFPオスマウスのゲノムDNAについて次世代シーケンス解析を実施した結果、遺伝子を含む領域の欠損と共にGFAPプロモーターとGFP配列の挿入が確認された。挿入と一部欠損が認められた遺伝子とオスマウスの不妊の関係について検討を進めている。さらに、GFPゲノム量がリアルタイムPCRで多く検出された個体では、GFP量が少ない個体や野生型よりも高率で前頭部分が張り出すような水頭症様の様子を呈することが確認されたため、脳を摘出し、形態の確認をおこなった。その結果、脳室の拡大、大脳皮質の菲薄化が起こっており、水頭症が生じていることが明らかとなった。水頭症は雌雄ともに確認されており、リアルタイムPCRでGFP量が多いことがわかっている。 また次世代シーケンス解析の結果、GFAPプロモーター-GFPを含む配列の挿入部位が一箇所ではない結果が示されたため、複数箇所での挿入についてPCRでのジェのタイピングを用いて検討してきたが、挿入されたと予想される配列中にマウス本来が持っているDNA配列が含まれており、その配列の長さが前回実施した通常の次世代シーケンス解析では検出が困難であることが予想された。そのため、ロングリードでのシーケンス解析を行い、現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り概ね進行している。しかし、次世代シークエンスを複数個体で実施し、再現性を確認する当初の予定は変更している。計画を変更した理由はGFAP-EGFP配列が当該GFAP-GFPマウスを作成したことを報告している論文とは異なっている可能性が2回目の次世代シーケンスで示されたためである。当初は引き続き次世代シーケンスを複数個体で実施する予定だったが、2回目と同一個体でロングリードでの次世代シーケンスを行うことに変更した。現在、GFAP-GFPを含む配列の挿入箇所の同定を試みている。また、新たに認められた水頭症について、組織学的解析を追加で行なっており、GFAP-GFP配列の挿入と相関があるのかについて検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに実施しているロングリードでの次世代シーケンス解析の結果からGFAP-GFP配列の挿入部位を特定する。特定された挿入部位からプライマーを作成し、これまで不妊が認められたオスマウスでの挿入を確認する。すでに解析済みである1回目および2回目の次世代シーケンスの結果とも合わせて、ゲノム上でのGFP量と雄性不妊の関連について、明らかにしていく予定である。 また、新たに認められた水頭症とGFAP-GFP配列挿入との関連について、検討していく。
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Causes of Carryover |
3回目の次世代シーケンスの納品が年度を跨いだため、2021年度に次世代シーケンスで使用予定だった予算分を繰り越すこととなった。
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