2020 Fiscal Year Research-status Report
家畜に異常産を引き起こすウイルスの小動物感染モデルの開発
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20K15677
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上間 亜希子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (20630156)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルボウイルス / ハムスターモデル / 蛍光ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、「家畜に異常産を引き起こすウイルスの小動物感染モデルの開発」である。アルボウイルスで家畜に異常産を起こすシュマーレンベルグウイルス(SBV)とアカバネウイルス(AKAV)を用いて妊娠ハムスターで小動物モデルを確立する。感染動体を解析するツールとして、本年度は蛍光SBVの作製を試みた。 1. リバースジェネティクスに用いるSBVのSゲノムRNA発現プラスミドに、RVFV Sゲノム由来のIGRとポジティブセンス鎖のGFP遺伝子を挿入し、アンビセンスSゲノム(SBV S-GFP)を構築した。 2. SBV S-GFP RNA発現プラスミドとSBVのLおよびM発現プラスミドをT7ポリメラーゼ恒常発現BHK/T7-9細胞にトランスフェクトすることで、GFP発現SBV(GFP-SBV)を回収できたが、これは蛍光発現しないウイルスであった。 3. そこで以前に確立した、一部5' UTRを欠損させたAKAV S-GFP mutantの構築をもとにSBV S-GFP mutant発現プラスミド(SBV S-GFP/42, /38, /37, /36, /35, /34, /33, /32)を構築し同様にトランスフェクトしたところ、SBV S-GFP/34以上の長さの5' UTR を持つものでGFP蛍光が確認でき、いくつかの蛍光SBVが回収できた(eGFP/42-SBV, eGFP/38-SBV, eGFP/36-SBV)。これらの塩基配列を確認したところ、変異は起きていなかった。これは、AKAVと同様、アンビセンスゲノムの5' UTRを削ることでポジティブセンス鎖の転写が活性化することを示しており、世界で初めて蛍光SBVの作出に成功したことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は蛍光SBVを作出し、in vitroとin vivoでその性状解析を行う計画であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で研究を中断せざるを得ない状況があった。そのため計画の進捗にやや遅れがあるものの、AKAVで確立した手法を活かして数種の蛍光SBVの作出に成功した。また蛍光SBVのレスキュー効率は野生型SBVと異なり非常に効率が悪く、回収までに時間がかかることが分かった。 以上のことから、本年度はおおむね順調に進展しているといえる。まだ回収できていない蛍光SBVのバリアント(eGFP/37-SBV, eGFP/35-SBV, eGFP/34-SBV)の作製とそれらの性状解析は来年度に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの進捗具合と新型コロナウイルスの感染状況から、今後の推進計画を以下のようにした。 【2021年度】蛍光SBVバリアントの作製とその性状解析:蛍光AKAVではSの5' UTRを段階的に欠損させた結果、回収できた中で一番短い5' UTRを持つウイルスが蛍光発現、病原性ともに最も優れていることが分かっている。SBVでも同様の現象が起きていると予測し、5' UTRを段階的に最大限まで欠損させたウイルスの作出を試みる(蛍光SBVバリアント)。またそれらの性状解析をin vitroで行う。 【2022年度】妊娠ハムスターにおけるAKAVおよびSBV感染様式の解析:作出済みの蛍光AKAVと、最も優秀な性状を持つと確認された蛍光SBVを用いて、妊娠ハムスターにおけるAKAVおよびSBV感染様式の解析を、1. 異常産に影響する感染時期の同定、2. 蛍光検出による新生子・胎子のウイルス感染の検証、2.で蛍光検出ができた場合、3. 母体から胎子へのウイルス移行時期の同定、について行う。 マウスで野生型と同等以上の病原性を示すことが分かっている蛍光AKAVでは、これまでの報告からハムスターで異常産を起こすことが予想されるが、蛍光SBVのハムスターへの病原性は未知である。異常産を起こさなかった場合は、蛍光検出もしくは免疫染色等による胎子のウイルス感染の検証を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度は、新型コロナウイルス感染の拡大の状況から実験を縮小せざるを得ず、物品費が抑えられた。次年度はウイルス作出やin vitro実験のために、培地、試薬、プラスチック製品などを購入予定である。
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