2020 Fiscal Year Research-status Report
腎疾患の犬と猫において腎臓の脂質代謝異常が尿中脂質プロファイルに与える影響
Project/Area Number |
20K15679
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高島 諭 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (70734664)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 犬 / 腎臓病 / 脂肪 / コレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
腎臓病の罹患犬と非罹患犬において、腎組織における脂肪滴蓄積の程度と尿中脂質の一つであるコレステロールの排泄について比較した。なお、猫については、腎臓病の剖検検体を入手できなかったことから、今年度の研究対象から除外した。糸球体への脂肪蓄積は慢性腎臓病(CKD)の有無に違いを認めなかったが、尿細管上皮への脂肪滴蓄積は、CKDに罹患した犬のほうが非罹患犬に比べて高い傾向を示した。急性腎障害(AKI) やCKDを罹患した犬の尿中総コレステロール(T-cho)(AKI:805.5 μmol/g Cre, n=4, CKD: 48.7 μmol/g Cre, n=17)は、健常犬(健常: 3.3 μmol/g Cre, n=12)よりも著しく高かった (AKI vs 健常: p < 0.05, CKD vs 健常: p < 0.01)。また、尿T-choは、血清クレアチニン(r = 0.37、p < 0.05)、血清尿素窒素(r = 0.48、p < 0.01)、尿L型脂肪酸結合タンパク(r = 0.59、p < 0.01)および尿タンパク・クレアチニン比(r = 0.86、p < 0.01)と正の相関関係を示し、尿比重(r = -0.67、p < 0.01)と負の相関関係を示した。腎臓病に罹患した犬では、尿細管上皮細胞における脂肪滴の蓄積が増加し、尿へのコレステロール排泄が増加することから、腎疾患のマーカーとして尿中のコレステロールを利用できる可能性が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LS-MS/MSによる尿中脂質の分析を予定していたが、コロナ渦により測定を実施する外部機関への出張が困難となってしまった。また、猫の検体が少なく、尿中コレステロールの測定系構築も犬同様にできなかったため、得られた成果が犬に限定されてしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
犬と猫の症例からの検体採取を引き続き実施する。さらに、LS-MS/MSによる尿中脂質の分析の条件設定を完了し、収集した尿検体の分析を進めていく。
|
Causes of Carryover |
当初実施予定であったLS-MS/MSによる尿中脂質の分析をコロナ渦により実施できなかったため、その経費分の次年度使用額が生じた。
|