2022 Fiscal Year Research-status Report
コモンマーモセットの消耗性症候群の病態解明と治療/予防法確立
Project/Area Number |
20K15686
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
峰重 隆幸 帯広畜産大学, グローバルアグロメディシン研究センター, 助教 (00791584)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コモンマーモセット / 非ヒト霊長類 |
Outline of Annual Research Achievements |
コモンマーモセット(マーモセット)は、小型で安全に取扱いやすく、繁殖効率がよく発生工学研究に適している利点から、神経科学研究などにおいて霊長類モデル動物として有用性が示されている。一方で、成長期以降のマーモセットは消耗性症候群(marmoset wasting syndrome: MWS)と呼ばれる削痩、骨石灰化障害、筋委縮、脱毛を主徴とする原因不明の慢性難治性疾患を自然発症し、これがマーモセットの研究利用における最大の障害となっている。本研究では、MWSにおけるビタミンDを介した病変進展に着目して、臨床的および病理学的な解析をおこなった。その結果、MWS罹患マーモセットの臨床検査所見は、厚生労働省が定めるヒトのビタミンD依存症2型の診断基準(低Ca血症、1,25(OH)2D高値、くる病/骨軟化症など7項目)と合致していることを明らかにした。 また、MWSの病態解明を実施するなかで、マーモセットの十二指腸拡張症について着目して検索をおこなった。十二指腸拡張について、臨床的病理学的解析を実施し、これを新規疾患としてScientific reports誌にて報告した。十二指腸拡張症の生前診断法として、造影レントゲン検査、単純レントゲン検査および腹部超音波検査の診断精度について明らかにした。現状、マーモセットが十二指腸拡張に至る正確な病態は不明であるが、十二指腸-結腸間の癒着や十二指腸潰瘍が病態進展に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスのパンデミック、また研究代表者の転籍によりやや研究成果の獲得については遅延している。 一方で、同じくマーモセットの重要疾患である十二指腸拡張症の病態解析をすすめることで、これを国際誌にて報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はMWSの成果についても学術雑誌に報告する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍や研究代表者の所属先変更により、研究に若干の遅延が生じたため。
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