2022 Fiscal Year Annual Research Report
シングルセル解析による精巣性テラトーマへの分化運命決定機構の解明
Project/Area Number |
20K15690
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮嵜 岳大 京都大学, 医学研究科, 助教 (40826591)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精巣性テラトーマ / 生殖細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
テラトーマは始原生殖細胞を起源とした3胚葉性の組織が無秩序に塊あった腫瘍である。テラトーマには、分化途中の細胞や時には全能性をもつ胚性癌腫細胞 (EC細胞)が存在し、分化した細胞を次々に作り出す。マウスでは精巣性テラトーマ形成に関連する遺伝子座が同定され(Youngren et al., Nature 2005)研究が 進んだが、なぜ正常な配偶子形成過程から逸脱し、3胚葉性の組織が分化するかはわかっていない。そこで、新たな視点から解析する必要がある。本来計画していた、シングルセル解析は解析に耐えうるサンプルの確保が困難であったため、別の視点から研究を進めた。所属研究室では、精子幹細胞の培養に長期間の成功しておりこの精子幹細胞を用い解析を行なった。先行研究から、がん抑制遺伝子であるp53やDmrt1をノックダウンさせることで、精子幹細胞から多分化能をもちES細胞に似た細胞(mGS細胞)の樹立に成功している。そこで、精子幹細胞からmGSへの変化を誘導させる遺伝子をスクリーニングすることによりテラトーマ形成の誘導メカニズムの解明を目指した。 その結果、精子幹細胞からmGSへの誘導はあるpiRNAの発現量を抑えることで、促進することが明らかとなった。さらにそのpiRNA遺伝子を欠損した精子幹細胞のRNAシークエンス解析により、野生型と比較して発現量が大きく変動している遺伝子をテラトーマ形成に関わる遺伝子候補としてリストアップした。しかし以前同定した実験的精巣テラトーマ形成の原因遺伝子であるett1遺伝子であるMc4rとの関連を見出すことはできなかった。
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Research Products
(2 results)