2021 Fiscal Year Annual Research Report
レトロトランスポゾンによる家畜化関連遺伝子の発現制御機構の解明
Project/Area Number |
20K15692
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
下出 紗弓 広島大学, ゲノム編集イノベーションセンター, 助教 (90772103)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 内在性レトロウイルス / ゲノム / ネコ / 多様性 / 家畜化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イエネコの家畜化関連遺伝子発現に与えるレトロトランスポゾンの影響を明らかにしようとするものであった。 初年度は、レトロトランスポゾンの一種である内在性レトロウイルス(ERV)のうち、イエネコでみつかったRDRS C2aについて、イエネコ細胞において5' LTRが低メチル化状態にあることを明らかにした。ERVのLTR配列はエンハンサー・プロモーター活性を有し、周辺に位置する宿主遺伝子の発現状態を変化させることが知られている。そこで、本年度はRDRS C2aのLTR配列をクローニングし、転写活性を評価し、その活性にDNAメチル化が与える影響を調べた。ルシフェラーゼアッセイの結果、RDRS C2aのLTR配列は強い転写活性を有することが明らかとなった。また、DNAメチル化によりその活性が減弱することがわかった。これらのことから、RDRS C2aの5' LTRがERV自身および周辺の宿主遺伝子の発現制御に関与している可能性が示唆された。また、RDRS C2a由来の転写産物の有無についてもRT-PCRにより明らかにした。その結果、RDRS C2aのうちenv遺伝子の一部を含むmRNAが転写されていることがわかった。今後はRDRS C2aのLTRおよび転写産物の機能について解析する予定である。 本研究が対象としたレトロトランスポゾンと宿主の家畜化関連遺伝子との関連性については未解明な部分が多いが、現在、RDRS C2aのノックアウトに着手しており、より明確な機能解析が可能となると考えられる。
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