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2020 Fiscal Year Research-status Report

Generation of a cynomolgus monkey model for pregnancy complications

Research Project

Project/Area Number 20K15699
Research InstitutionShiga University of Medical Science

Principal Investigator

武藤 真長  滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 特任助教 (50868867)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsトロホブラスト細胞 / カニクイザル / 胎盤
Outline of Annual Research Achievements

妊娠高血圧症候群は全妊婦の5-10%が発症し、胎盤が起因となり母児共に深刻な影響を与える妊娠疾患の一つであり、根本的な治療法は妊娠終了しかない。胎盤を構成する主要な細胞である栄養膜(トロホブラスト)細胞の不適切な分化・浸潤は、胎児と母体両方に深刻な影響を与える妊娠高血圧症候群の原因となる。これまでげっ歯類のトロホブラスト幹細胞(TS細胞)を使った分化・浸潤機構の研究は行われてきたものの、ヒトなどの霊長類における生体レベルでの知見は乏しい。さらに最近樹立されたヒトTS細胞は浸潤性を獲得したEVT細胞や合胞体であるSyn-T細胞へと分化可能であるが、その細胞を使ったキメラ解析などの生体レベルにおける機能評価はヒト試料を用いる限り不可能である。そこで本研究ではヒトに最も近い動物モデルであるカニクイザルを用いて、生体レベルでのトロホブラスト細胞機能評価を行い妊娠高血圧症候群の発症メカニズムの解明を目的とする。
カニクイザルの胎盤および胚盤胞期胚からTS細胞に相当する幹細胞を樹立することができた。カニクイザルTS細胞にレンチウイルスベクターを高効率に感染させるための手法を検討した。センダイウイルス由来因子をレンチウイルスベクターへ導入することでウイルスの力価を高めることが可能となり、TS細胞への遺伝子導入率が向上した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

カニクイザルの胎盤から回収したCytotrophoblastをヒトTS細胞と同じ培養条件を用いて培養したところ、TS細胞様のコロニーを得ることができた。また、カニクイザルの胚盤胞期胚も同様の培養条件で培養したところディッシュ底に接着しoutgrowthコロニーを形成することがわかった。さらにこのコロニーを継代したところTS細胞様のコロニーを増殖させることができた。免疫染色によりこれら細胞がGATA3, ITGA6, TP63, KRT7, CDH1, TEAD4などのTS細胞のマーカータンパク質を発現していることがわかった。このことから、カニクイザルTS細胞はヒトと同様のメカニズムで幹細胞性を維持できることが示唆された。また、カニクイザルTS細胞の分化能を検討したところ、Syn-T細胞への分化は形態的に認められたが、EVT細胞への分化はさらなる検討が必要である。
カニクイザルのトロホブラスト細胞の機能評価を行うための予備実験として、カニクイザル胎盤および胚盤胞から樹立されたTS細胞にレンチウイルス(LV)ベクターを感染させて遺伝子導入実験を試みた。通常の方法で得たLVベクターでは力価が低く、カニクイザルTS細胞に効率良く感染させられる力価を持つウイルスを作製する必要があった。そこでLVベクターを産生時にセンダイウイルス由来因子をHEK293T細胞へ同時にトランスフェクションすることで、約10倍高い力価を持つLVベクターを作製することが可能となった。これによりカニクイザルTS細胞へ蛍光タンパク質を発現させてラベリングすることができ、生体内でキメラ胎盤を作製する際に有用なツールとなることが考えられる。

Strategy for Future Research Activity

樹立したTS細胞がカニクイザル生体内に寄与するか評価するために、GFPを発現するLVベクターをカニクイザルTS細胞に感染させ、野生型カニクイザル胚盤胞期胚(または8細胞期胚)に注入する。その後仮親カニクイザルへ移植し、第一、第二、第三周産期の胎仔・胎盤をそれぞれ採取して、ラベリングされたTS細胞がサル胎盤に寄与するか評価する。またその際、胎仔組織に寄与していないことを確認し、TS細胞が胎盤にのみ寄与することを確認する。キメラ胎盤におけるTS細胞の寄与率も評価する。さらにカニクイザルTS細胞を用いた遺伝子機能解析を試みる。申請者はこれまで行ってきた研究で、ヒトTS細胞を用いて抗血液凝固因子であるTFPIをノックダウンするとEVT細胞への分化が阻害されたことを明らかにした。そこで本研究ではカニクイザルTS細胞におけるTFPIに着目した。CAGプロモーター制御下でTFPIのshRNAおよびGFPを発現するレンチウイルス(LV)ベクターをカニクイザルTS細胞に感染させ、野生型カニクイザル胚盤胞期胚(または8細胞期胚)に注入し仮親へ移植後、採取した胎盤の表現型解析を行う。胎盤内においてGFPでラベリングされたトロホブラスト細胞の各細胞種(EVT、Syn-T細胞)への分化能をマーカータンパク質(EVT: HLA-G、Syn-T: CGB)の免疫染色により評価する。

Causes of Carryover

カニクイザル胎盤および胚盤胞から樹立されたTS細胞にレンチウイルス(LV)ベクターを感染させた遺伝子導入実験により、カニクイザルTS細胞へ蛍光タンパク質を発現させてラベリングすることが可能となった。しかしラベリングされたTS細胞がカニクイザル生体内に寄与するか評価するための実験は行えていないことが大きな理由の一つである。具体的には野生型カニクイザル胚盤胞期胚(または8細胞期胚)に細胞を注入する実験を行い、キメラ胚盤胞およびキメラ胎盤におけるTS細胞の寄与率を評価するために助成金を使用する予定である。

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Published: 2021-12-27  

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