2021 Fiscal Year Research-status Report
超速老化モデル脊椎動物を用いた個体老化を制御する代謝経路の探索・解析
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20K15701
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 耕太 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (10867279)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 老化 / 寿命 / ターコイズキリフィッシュ / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
超短命魚ターコイズキリフィッシュをモデルとして用い、「脊椎動物の個体老化を制御する代謝経路」の探索、同定を進め、以下の結果を得た。 <計画1>系統・近縁種間肝臓メタボローム比較から絞り込まれた代謝経路と個体老化の関係解析を進めた。1.系統間で顕著な差を独自に見出したアミノ酸代謝経路の機能を解析するため、代謝経路を人為的に活性化するトランスジェニック系統を昨年度作製した。本年度は、作製した系統を用いて老化形質の比較解析を行った結果、とくに皮膚や肝臓において抗老化作用が認められた。したがって、本代謝経路の活性化が脊椎動物の個体老化を抑制することが示唆された。2.さらに本研究では、系統間ゲノム比較解析から長命系統に特徴的な脂質代謝酵素における遺伝子変異を見出している。本年度は、昨年度作製した長命型変異を短命系統に導入した系統の解析を進めた。その結果、長命型改変系統では腸内細菌叢の多様性および菌種が改善することがわかった。さらに、長命型改変系統では寿命の延伸傾向も見られた。このことから、長命型変異が腸を起点とする個体老化制御機構に関与する可能性が示唆された。 <計画2>胚盤胞補完法による系統・近縁種間「肝臓置換個体」作製に基づく老化制御代謝経路の同定 胚盤胞補完法に必要な技術である、キメラ胚作製法の確立を進めた。細胞を移植した胚の培養条件の検討を引き続き行ったが、最適な条件の確立には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自に絞り込んだ老化制御の候補となる代謝経路の活性改変系統を確立し、さらにこれら系統を用いた老化解析から老化抑制作用の一端を見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
<計画1>作製した遺伝子改変系統を用いて、引き続き老化解析を進めるとともに、寿命評価を行う。さらに、各代謝経路の活性改変が老化形質に影響を及ぼすメカニズムに迫るために、代謝経路の中心器官と予想される臓器や、とくに抗老化作用が認められる臓器に着目し、具体的な代謝物量やシグナル伝達経路の変動を解析する。 <計画2>移植胚の生存率を高める培養方法として、培養液の組成だけでなく、胚へのダメージを軽減すべく、培養皿底面の硬さ等に着目して移植法を確立し、引き続き胚盤胞補完法の確立を行う。
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Causes of Carryover |
本年度行った遺伝子改変系統を用いた老化形質の解析は、ほぼ前年度までに用意した試薬等の消耗品で行うことができた。また、コロナウイルスの影響で、予定されていた出張等がほぼ中止となったため、旅費の使用が0となった。今年度までに、遺伝子改変系統を用いた老化形質解析の目処が立ったため、さらに分子機構に迫るために、次年度使用額を用いてメタボロミクス解析等高額な費用を要するものを含めて、様々な解析を展開させる。
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Research Products
(2 results)