2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K15707
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
上村 悟氏 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線障害治療研究部, 主任研究員(任常) (90769522)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 核移植 / 点突然変異 / ゲノム変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにマウスntES細胞において、点突然変異(SNVs)やInDelsなどのゲノム変異が起こることが確認された。しかし解析対象はntES細胞であるため、核移植胚発生においてゲノム変異が起こるかは明確に明らかでない。そこでマウス体細胞核移植初期胚(n=3)を対象に全ゲノム解析を行なったところ、ntES細胞と同程度にSNVsが起こることが明らかとなった。それぞれの核移植胚で見つかったSNVsは共通しておらず、さらにコントロールの顕微授精胚はかなり少ないSNVsであったことから、核移植リプログラミング特異的にゲノム変異が起こる可能性があることが示唆された。また、p53タンパク質(Trp53) は、細胞にDNA損傷が生じると DNA修復経路を活性化させ、修復が不可能な場合には細胞増殖停止やアポトーシスを誘導するなどの役割を果たす。p53経路を抑制するとマウスiPS細胞樹立効率が上昇することが知られおり、p53を抑制するとゲノム変異を伴いながら核移植胚発生率が向上する可能性がある。そこで、p53阻害剤であるPifithrin-αを核移植胚において処理したころ、無処理区に比べ胚発生が向上することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全ゲノム解析の正確性は、解析に供するゲノム量、つまり細胞数の影響が強いために、これまで細胞数を多く集めることができる培養細胞で強力なツールとして利用されてきた一方で、細胞数の少ない初期胚では正確なゲノム情報を把握することは難しかった。本研究では、比較サンプルを工夫することで、これまで明らかにされていなかった、核移植初期胚におけるゲノム変異の存在を明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は核移植におけるゲノム変異の具体的なパターンについてより詳しく解析を実施していく予定である。さらに、核移植初期胚発生においてゲノム変異が起こる原因について具体的に探っていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度計上していた旅費(学会参加)は新型コロナウイルス蔓延のため、オンラインでの開催となったため、来年度以降に参加したい。また、その他においてシークエンス代を計上していたが、サンプル調整のために繰り越したものがあるため、次年度に計上したい。
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