2022 Fiscal Year Research-status Report
翻訳速度変化を介した新生タンパク質の折畳み機構の解明とその応用
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20K15709
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
佐古 博皓 沖縄科学技術大学院大学, 細胞シグナルユニット, ポストドクトラルスカラー (80793570)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 翻訳速度 / 新生鎖 / タンパク質変性 / miRNA / 糖尿病 / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
リボソームがmRNAを翻訳する速度は、局所的に変化している。適度かつ局所的な翻訳速度の低下は、変性に脆弱なタンパク質領域の適切な折り畳みに寄与してい ると分かってきた。しかし、タンパク質の適切な折り畳みを促進するために、翻訳速度の特異的かつダイナミックな制御機構は未だ分かっていなかった。 miRNAは遺伝子発現を負に調節することが広く知られている。miRNAはmRNAのCDSへも3UTRと同程度結合するが、CDSに結合するmiRNAの発現量への影響は小さく、なぜ多くのmiRNAがCDSにも結合するのかは分かっていなかった。本研究では、一部のmiRNAはリボソームの翻訳速度を局所的に遅くすることで、新生タンパク質の折り畳みを促進しているという概念を提唱し検証することを目的としている。 今年度は、これまでの研究結果に加え、miRNAが翻訳速度を負に調節しうる現象を、これまでのリボソームプロファイリングを用いた方法とは異なる手法で検証した。具体的には、EGFP-miRNA binding Sequence-P2A-mCherryレポーターを作成し、miRNAが結合し翻訳速度が遅くなるのであれば、当該レポーターに結合するmiRNA (非切断型shRNA)を過剰発現させることで、mCherryの発現量に対してEGFPの発現量が低下する、という系を構築した。フローサイトメーターを用いてmiRNAの当該レポーターへの影響を検証したところ、仮説通りmiRNAの過剰発現によってmCherryの発現量に対してEGFPの発現量が低下した。これらの結果を論文にまとめ投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では研究課題期間内に、miRNAのレポータータンパク質の折り畳みに対する影響を1グローバルなmiRNAの減少、2レポーターに結合するmiRNAの阻害、3miRNA mimicによるレスキュー、の3ステップにおいて生化学的に検討し、最終的に4内在性のタンパク質における同様の機序の有無の検討が含まれていた。今年度までに、1から4の研究課題を検討し、さらに異なるアプローチによってmiRNAの翻訳速度に対する影響を検証でき、論文としてまとめ投稿できたことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
査読者からの要求に応え、論文をまとめる。
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Causes of Carryover |
論文投稿に関する追加実験などのため。
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