2021 Fiscal Year Annual Research Report
Correlation between mRNA poly(A) tail length and translational activity
Project/Area Number |
20K15719
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾上 耕一 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (70796523)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 翻訳 / ポリA鎖 / ナノポアシークエンサー / direct RNA-seq / TOP mRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
mRNAのポリA鎖の長さと翻訳活性には正の相関があると古くから考えられてきた。しかし近年の網羅的な解析では、その相関性について否定的な結果が発表され、議論を呼んでいる。本研究は、このポリA鎖の長さとmRNAの翻訳活性の相関に関する最近の見解を検証することを目的として開始した。最初に、ポリソーム分画によってリボソームの結合数により分離した複数のフラクションからRNAを抽出し、5'cap構造に高い親和性を示す変異型eIF4Eタンパク質と3'ポリA鎖へのアダプター付加によって完全長のmRNAのみを解析対象とできるdirect RNA-seq手法を構築した。各リードの持つポリA鎖長を算出したところ、翻訳活性の高い重ポリソーム画分へ移行するほどポリA鎖長の平均値が有意に増加することが確認された。さらに、得られた全リードの半数以上がTOPと呼ばれる特徴的な配列を5'末端にもつmRNA群に属することが判明した。得られたリードをTOP遺伝子とnonTOP遺伝子に分け、ポリA 鎖長と翻訳活性の相関を分析したところ、TOP遺伝子においてのみ、明確な正の相関が確認できた。さらに、GO解析の結果、正の相関関係を示す遺伝子群にはTOP遺伝子に加え、ミトコンドリア機能と関連する遺伝子が多数含まれることが判明した。ミトコンドリア機能関連遺伝子のほとんどは定義上のTOP遺伝子には分類されないものの、正の相関を示す群として得たものに関してはTOP様の配列が5'末端に存在していた。TOPはRNA結合タンパク質LARP1により認識されるが、TOP遺伝子の翻訳調節にLARP1によるポリA鎖長制御が重要であることを明らかにした。本研究の結果、先行研究では見落とされていた例外的に強い相関性を示す遺伝子の同定、さらにはその挙動を説明づけるmRNA cis配列と、trans因子を決定することに成功した。
|
Research Products
(2 results)