2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K15728
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志甫谷 渉 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (30809421)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | GPCR / ロドプシン / クライオ電子顕微鏡法 |
Outline of Annual Research Achievements |
光捕集性ケトカロテノイドから光駆動型プロトンポンプであるキサントホロドプシンへのエネルギー移動は、これまで極端な好塩性細菌1および陸上ラン藻2という二つのユニークなケースで実証されてきた。海洋性光従属栄養細菌から、豊富なロドプシンプロトンポンプ3へ結合しエネルギーを伝達するカロテノイドを見つける試みは、これまで失敗に終わっている。我々は、環境からの発色団抽出と機能的メタゲノム解析の組み合わせにより、広く分布する水酸化カロテノイドであるゼアキサンチンとルテインから、キサントロドプシンやプロテオロドプシンの網膜部分への光エネルギー伝達を検出した。光捕集性カロテノイドは、紫色または青色光領域で捕集したエネルギーの最大42%を、緑色光を吸収する網膜発色団に伝達している。クライオ電子顕微鏡法によって、ゼアキサンチンが結合したロドプシンの構造を2.3オングストロームで決定した。このロドプシンは五量体を形成しており、その膜外側にゼアキサンチンの結合を確かに確認することができた。ゼアキサンチンは、レチナール近傍の横穴に結合していた。横穴の底の環境が親水的であるため、水酸化カロテノイドを利用できることがわかった。メタゲノム解析によって、これらのアンテナは、世界の湖沼、海、海洋のロドプシン光栄養に大きな影響を与える可能性があることが示唆された。しかし、今回の発見が機能的にどのような意味を持つかは、まだ解明されていない。
|
Research Products
(1 results)