2021 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of atomic model of more intact doublet microtubule structure
Project/Area Number |
20K15733
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
市川 宗厳 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80844662)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ダイニン / 繊毛 / モータータンパク質 / クライオ電顕 |
Outline of Annual Research Achievements |
繊毛は、真核生物の細胞表面に存在している、毛の様な構造体である。繊毛の内部構造は、中心対複合体を9本のダブレット微小管が取り囲んだ軸糸9+2構造を取っている。申請者はこれまでダブレット微小管の内部の微小管内タンパク質構造に主に着目し、研究をおこなってきた。しかしながら、ダブレット微小管の外側にも、軸糸ダイニンや、docking complexなど、多くのタンパク質複合体が存在している。これらの立体構造は高分解能では明らかにされていない。 そこで、本研究では、外側のタンパク質構造を保持した、より生体内に近いインタクトなダブレット微小管の構造解析を行い、ダブレット微小管の外側に結合しているタンパク質複合体、特に軸糸ダイニン複合体のうち外腕ダイニン複合体に焦点を当てた研究を行った。初年度に、クライオ電子顕微鏡法によって、外側のダイニン複合体を保持したダブレット微小管の構造を解析し、外腕ダイニンのプレリミナリーなモデルを構築した。最終年度はこのモデルのさらなる精密化を進め、外腕ダイニンのモデルの精密化を行った。得られたダイニンの構造を、近年報告された繊毛に輸送される前の不活性な状態のダイニン構造(Mali, GR et al., 2021, Science)との比較を行い、外腕ダイニン複合体の活性化に伴う構造変化を調べたところ、尾部ドメインに大きな構造変化が起きていた。構造変化が起きている外腕ダイニンの尾部ドメインの領域は、外腕ダイニンをダブレット微小管に係留しているdocking complexの領域と相互作用していた。さらに、分子動力学を用いた解析を行うことで、外腕ダイニンの活性化機構についてのモデルを提示した。本研究は、外腕ダイニンの構造を高分解能で解明しただけではなく、今後、外腕ダイニンを用いたin vitroでの運動システムの構築の基礎となる重要な結果である。
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