2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K15740
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
前田 深春 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (40823422)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分泌 / ER exit site / TANGO1 / Sec16 / 細胞分裂 / リン酸化修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
ER exit siteは1細胞あたり数百個存在する小胞体上の分泌小胞形成ドメインであり、細胞分裂期には分泌の停止に伴って一時的に構成因子が乖離し、崩壊することが知られている。しかし、細胞周期依存的なER exit siteの形成制御メカニズムは不明だった。 研究代表者は先に、ER exit siteの形成には、膜貫通型タンパク質であるTANGO1とER exit siteにおけるscaffold因子であるSec16の結合が必要であることを明らかにした。また、これまでの解析から、TANGO1はカゼインキナーゼ1(CK1)によってリン酸化修飾を受けること、プロテインホスファターゼ1(PP1)によって脱リン酸化を受けることを見出し、リン酸化TANGO1はSec16との結合親和性が減弱することでER exit siteの形成能を失うことを明らかにした。本研究において、研究代表者は新たに以下のことを明らかにした。 (1) 細胞分裂期においてTANGO1のリン酸化が亢進していた。 (2) ダブルチミジン法によって細胞分裂期に同調させた培養細胞株においてTANGO1の非リン酸化型変異体であるSA変異体を発現させたところ、ER exit siteの崩壊が抑制された。 (3) CK1をsiRNAにより発現抑制した細胞において、細胞分裂期のTANGO1のリン酸化が減弱していた。 以上の結果は、細胞分裂期におけるER exit stieの崩壊にはCK1によるTANGO1のリン酸化が必要であることを表している。すなわち、TANGO1のリン酸化修飾状態が細胞周期依存的なER exit site形成のスイッチとして機能することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度、研究代表者は細胞分裂期特異的なTANGO1のリン酸化亢進を新たに見出し、さらにTANGO1のリン酸化が細胞分裂期におけるER exit siteの崩壊に必要であることを明らかにした。また、今年度これらの内容を原著論文として発表した (Maeda et al., Dev. Cell, 2020)。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析から、TANGO1とSec16の結合はER exit siteを形成する上で重要なトリガーである可能性が強く示唆されてきたが、ER exit site形成の分子メカニズムの全貌は未解明である。 研究代表者は、TANGO1以外にも種々のER exit site構成因子が細胞分裂期においてリン酸化修飾を受けることを既に見出している。今後は、これらの因子の修飾を足がかりに、TANGO1とSec16が結合した後にどのようなメカニズムでCOPII小胞関連因子がER exit siteに集積するかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
これまで解析に用いてきたアイソトープ核種[γ-32P]GTPが販売停止となったことで、新たな評価系の構築を行う必要が生じた。
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Research Products
(4 results)