2020 Fiscal Year Research-status Report
ショウジョウバエ卵巣体細胞におけるpiRNA前駆体選別機構の解明
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20K15743
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平形 樹生 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (40844791)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | piRNA / fs(1)Yb / Yb body / cis-regulatory element / 液-液相分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の生殖組織に特異的な小分子RNAであるPIWI-interacting RNA(piRNA)はトランスポゾンの抑制に働く。ショウジョウバエ卵巣体細胞では、piRNAの前駆体が持つcis-elementがRNA結合タンパク質fs(1)Yb(Yb)に認識されることで、プロセシングが開始されpiRNAが作られる。しかし、cis-elementのモチーフ配列は未解明である。トランスポゾンの抑制を担うpiRNAの大部分はflamenco(flam)と呼ばれる遺伝子間領域に由来する。Ybタンパク質とflam RNAは液液相分離によってYb bodyと呼ばれる細胞質顆粒を形成することで、flam RNAのプロセシング効率を特異的に高める。一方、一部のpiRNAは、タンパク質をコードするmRNAからYb body非依存的に作られる。しかし、flam RNAが特異的に相分離をもたらす機構は不明である。そこで本研究では、piRNA生合成およびYb body形成を引き起こすRNAの特徴を解析することで、piRNA前駆体の選別機構を解き明かす。 本年度はまず、精製Ybタンパク質を用いたPull-down法によるYb結合RNA回収の条件検討を行った。しかし回収効率が十分でなかったため、細胞内でYb bodyに含まれるRNAを網羅的に同定してその配列からモチーフを探索することを目指し、ショウジョウバエ卵巣体細胞由来の培養細胞株OSCから遠心分離法と免疫沈降法の組み合わせによってYb bodyを単離する手法を確立した。今後、単離したYb body中のRNA配列を解析することで、piRNA生合成およびYb body形成を引き起こすRNAの特徴を見出せると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精製Ybタンパク質を用いたPull-down法の条件検討を行ったが、次世代シーケンサーによる解析を行うには結合RNAの回収効率が不十分であると判断し、細胞内でYb bodyに含まれるRNAを網羅的に同定することを目指した。本年度は、ショウジョウバエ卵巣体細胞由来の培養細胞株OSCにおいて、細胞破砕液中のYb bodyを遠心分離法と免疫沈降法の組み合わせによって回収する技術を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
Yb body中のRNAを同定し、そこからYb結合やYb body形成をもたらす配列的特徴の候補を抽出する。これらの特徴について、ゲルシフトアッセイや試験管内相分離アッセイといった試験管内の解析、および、レポータープラスミドとOSCを用いた細胞内の解析による検証を行い、piRNA前駆体の選別機構を解き明かす。
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Causes of Carryover |
Pull-down法により相互作用RNAを回収する予定であったが、次世代シーケンサー解析を行うには回収率が不十分であり、細胞内で結合しているRNAのクローニングに変更したため次年度使用額が生じた。同定されたRNAモチーフの検証段階ではPull-down法を用いる予定であり、未使用額はその経費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)