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2020 Fiscal Year Research-status Report

ペルオキシソームタンパク質取込機構におけるAAA-ATPase複合体の機能と構造

Research Project

Project/Area Number 20K15747
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

潘 東青  京都大学, 薬学研究科, 助教 (50710787)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2022-03-31
Keywordsペルオキシソーム / タンパク質輸送 / AAA-ATPase
Outline of Annual Research Achievements

酵母やヒトなどの真核生物では、細胞小器官ペルオキシソームの形成は正常な細胞機能に必要不可欠であり、ペルオキシソームの形成異常・機能異常はヒトのペルオキシソーム病を引き起こす。細胞質で作られた新たなペルオキシソームタンパク質をペルオキシソーム内腔に取り込む過程は、正常なペルオキシソームを形成する上で重要な過程で、ペルオキシンと呼ばれる一群のタンパク質によって、緻密なコントロールのもとで実行される。当研究ではAAA-ATPaseファミリーに属するPex1:Pex6複合体を中心としたレセプターリサイクル複合体の機能メカニズムを理解するために、出芽酵母のPex1p:Pex6p複合体の再構成と構造解析を目指した。
出芽酵母のPex1p:Pex6p複合体はペルオキシソーム膜タンパク質であるPex15pによって、ペルオキシソーム膜に局在化し、Pex5pやPex7pのリサイクルを行う。Pex1p:Pex6pとPex15pが結合した3種類のタンパク質は分子量700kDaを超える大きなタンパク質複合体である。本年度は、タンパク質発現系の構築と精製方法の確立を行った。大腸菌、Saccharomyces cerevisiae, Pichia pastorisの組み換えタンパク質発現系を試し、アフィニティ精製用の融合タグの検討や精製方法の最適化を行った結果、Pex1p:Pex6p複合体を再構成することに成功した。再構成したPex1p:Pex6p複合体はATP加水分解活性を有し、正しく折り畳まれた正常な機能を持つサンプルであることが示唆された。Pex1p:Pex6p複合体の精製サンプルを用いて、Pex15pとの複合体形成やレセプタータンパク質との相互作用を調べること、そして構造解析に取り組むことが今後の研究方針である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的であるPex1p:Pex6p複合体の機能メカニズムの解明のために生化学実験を行うには、Pex1p:Pex6p複合体の精製系の確立を行う必要があるが、Pex1p:Pex6p複合体は700kDaを超える大きなタンパク質複合体であるため、当初いくつかの組み換えタンパク質発現系を試しても、高純度サンプルを十分量得ることが困難であった。アフィニティ精製用の融合タグのつなぎ方を様々なパターンで検討し、精製方法を最適化した結果、高純度サンプルを得ることに成功した。得られたサンプルはATP加水分解を示したことから、正常に機能することを確かめることができた。今後種々の実験にPex1p:Pex6p複合体の精製サンプルを用いることができるようになった。

Strategy for Future Research Activity

Pex15pとPex1p:Pex6p複合体の詳細な相互作用機構は、Pex1p:Pex6p複合体がどのようにPex5pやPex7pのリサイクルを行うのかを理解する上で重要な情報であるが、いまだ完全に決定されていない。そのため、まず出芽酵母のPex1p:Pex6p複合体の精製サンプルを用いて、Pex15pとの相互作用解析を行う。Pex15pのヒトホモログであるPex26をはじめ、Pex15pのホモログタンパク質間のアミノ酸の相同性が低いため、アミノ酸配列からPex15pとPex1p:Pex6p複合体の相互作用を推測することが難しい。そこで、内在性Pex15pを欠損した酵母株に様々なPex15p変異体を発現させて機能解析を行い、Pex15pの配列のうち機能発現に重要な配列の同定を行う。また化学架橋と質量分析を組み合わせたXL-MS法を用いてPex15pとPex1p:Pex6p複合体の相互作用のマッピングを行う予定である。同時に、Pex1p:Pex6p複合体の構造解析を目指すため、Pex1p:Pex6p複合体の大量精製系の確立とX線結晶構造解析に向けた結晶化スクリーニング、そしてCryo-EMを用いた単粒子解析法による構造解析に取り組む予定である。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染拡大防止の影響により、研究遂行の一時中断が生じたため、当初予定していた実験を一部次年度に繰り越すこととなった。それに伴い次年度使用額が生じた。研究課題は概ね順調に進んでいるため、繰り越した助成金は次年度に予定していた実験に用いる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2020

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] Candida albicansの多剤排出型ABCトランスポーターCdr1pの精製と機能解析2020

    • Author(s)
      筒井 隼一、陳 月、中津 亨、加藤 博章、潘 東青
    • Organizer
      日本薬学会第141年会
  • [Presentation] ナノディスクに挿入したP糖タンパク質CmABCB1のATPase活性に対する脂質成分の影響2020

    • Author(s)
      陳 月、潘 東青、加藤 博章
    • Organizer
      日本薬学会第141年会
  • [Presentation] 親和性標識によるP糖タンパク質CmABCB1の基質結合様式の同定2020

    • Author(s)
      小田島 圭、潘 東青、三和 空知、水沼 諒、瀧川 紘、高須 清誠、加藤 博章
    • Organizer
      日本薬学会第141年会
  • [Presentation] 多剤排出トランスポーターCmABCB1と基質アナログの結晶構造解析2020

    • Author(s)
      水沼 諒、小田島 圭、三和 空知、潘 東青、瀧川 紘、中津 亨、高須 清誠、加藤 博章
    • Organizer
      日本薬学会第141年会

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Published: 2021-12-27  

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