2021 Fiscal Year Research-status Report
分裂酵母のDDKとNDR kinaseによる胞子細胞膜新生の新奇制御メカニズム
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20K15752
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
今田 一姫 鈴鹿工業高等専門学校, 生物応用化学科, 講師 (70793587)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Dbf4-dependent kinase / 分裂酵母 / 胞子形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的に、娘細胞の細胞膜は母細胞から直接受け継がれるが、子のう菌酵母の胞子の細胞膜は、減数分裂時と同調して母細胞の“中”で新しく形成される。申請者らは最近、分裂酵母における胞子細胞膜新生の最初のステップに、細胞増殖に関与する3つのnuclear Dbf2-related (NDR) kinaseと1つのDbf4-dependent kinase (DDK)ホモログが、同一経路上で働くことを見出している。NDRが働く経路として、細胞質分裂から細胞の分離と極性成長に切替えるMorphogenesis Orb6 network (MOR)と、核の分裂後に細胞質分裂を開始させるSeptation initiation network (SIN) が知られている。細胞が増殖する際は、SINの下流にMORが存在しているが、胞子形成時には、胞子形成時特異的なDDKの関与によって逆向きの制御となっていることが示唆されている。本研究では、これらのシグナル因子がどのように関わり合い、減数分裂と同調した胞子細胞膜形成を調節するのかを明らかにすることを目的とする。 DDKによってどのようにSINが活性化されるのか、手がかりをを得るため、DDKの調節サブユニットSpo6といくつかのSIN経路因子のプルダウンアッセイを試みたが、相互作用は検出できなかった。Spo6は胞子形成時にはSPBに局在するが、栄養増殖時にはSPB局在が見られなかったことから、胞子形成時の細胞で物理的相互作用の検出を試みている。また、SINの活性化因子Polo kinaseの胞子形成開始時の局在には、DDKの関与が見られなかった。このことから、DDKはPoloより下流でSINを活性化している可能性がある。一方、MOR変異株における胞子形成の詳細な観察を行った。これにより、MORが胞子形成の初期段階にも関与することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プルダウンアッセイによって、DDKであるSpo4-Spo6のターゲット候補の探索を行った。ターゲット候補をSIN経路関連因子に絞り、特定を試みたが、相互作用は検出できなかった。栄養増殖時の細胞内環境では検出できない可能性があるため、二倍体株を作製し、胞子形成時の細胞で同様の実験を行っている。ただし、胞子形成誘導後のサンプリングのタイミングの条件検討が難航している状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
胞子形成時の細胞破砕液を用いたプルダウンアッセイによって、DDKであるSpo4-Spo6のターゲットの特定を引き続き試みる。これまでの結果から、胞子形成時のDDKによるSIN活性化のためのターゲットは、SIN経路因子であるCdc7よりも上流、SIN活性化因子であるPolo kinaseよりも下流である可能性が高い。胞子形成は一過的な現象であるため、サンプリングのタイミングの条件検討を行い、胞子形成の初期段階の細胞におけるDDKとSINの間の物理的相互作用検出を試みる。同時進行で遺伝的相互作用を調べることで、物理的相互作用の候補因子の絞り込みを行いたい。を試みる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のための遠隔化の影響もあり、科研費を用いた共同研究および学会発表による出張を行わなかった。また、データ整理のための学生アルバイト雇用も行わなかった。一時的な授業の遠隔実施期間があったことも影響した。これらの理由により、研究計画および支出に変更が生じた。
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Research Products
(4 results)