2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of physical properties and intracellular functions of unanchored atypical ubiquitin chains
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20K15757
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 大智 京都大学, 工学研究科, 助教 (40746616)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユビキチン / ATP / 非定型鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)ユビキチンとATPとの弱い相互作用の原子レベル解析 細胞内に大量に存在するアデノシン三リン酸 (ATP) は、天然変性タンパク質FUSの凝集を大幅に阻害する効果があると報告された(Patel, et al. Science 2017)。凝集の阻害にはATPとタンパク質との直接的な相互作用が重要であり、この相互作用はある特定のタンパク質に限られたものでは無いことが示唆されるが、詳細な機構はわかっていなかった。本研究では溶液NMR法や等温滴定カロリメトリー法を用いて、ATPとユビキチンとの相互作用を定量的に明らかにした。ATPはユビキチンの柔軟または疎水性の高い領域に弱く相互作用することがわかった。この相互作用はタンパク質の水和状態を変化させ、自己会合や凝集を阻害することが示唆された。本研究で得られた結果をまとめ、学術論文として発表した(Nishizawa, Morimoto, et al. JACS 2021, 143, 31, 11982-11993)。 (2)環状ユビキチン鎖の作製と物性の評価 本研究では、ユビキチン鎖が関与する液液相分離を詳細に解明するため、さまざまなユビキチン鎖、特に研究があまり進んでいない非定型のユビキチン鎖を試験管内で作製し、液滴形成能を検証することを目指している。本年度では、作製が困難なK48結合型の環状ユビキチン鎖を高純度かつ大量に試料調製し(Sorada, Morimoto, et al. BBRC 2021, 562, 12, 94-99)、直鎖状のユビキチン鎖と異なる物性を示すことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に遂行し、遊離非定型ユビキチン鎖の物性解析の基盤を構築できている。新型コロナウイルス感染症の影響で発注した物品が年度内に納品されず繰越ならびに延長申請をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度で開発した環状ユビキチン鎖の調製方法ならびに2020年度に確立した非定型ユビキチン鎖の調製方法を用いて、結合様式や長さに応じた構造学的ならびに液滴形成能といった物理的性質を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、予定していた物品の納期が遅れたため。また、研究室内に貯蔵していた試薬を使用することで予定していた実験を遂行することができたため。
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Research Products
(6 results)