2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of physical properties and intracellular functions of unanchored atypical ubiquitin chains
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20K15757
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 大智 京都大学, 工学研究科, 助教 (40746616)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユビキチン / 非定型鎖 / 構造揺らぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ユビキチン鎖が関与する液液相分離を詳細に解明するため、多様な形態のユビキチン鎖、特に研究が進んでいない非定型のユビキチン鎖を試験管内で作製し、液液相分離に関わる物性を明らかにすることを目指している。本年度では、作製が困難なLys48結合型の環状ジユビキチンを高純度かつ大量に試料調製し、生化学的手法や物理化学的手法により、環状ユビキチン鎖の生物学的および構造学的な特徴を調べた。まず、環化によってプロテアーゼ消化に対する耐性が変化するか調べたところ、プロテアーゼの種類に関わらず、環化はプロテアーゼ消化耐性を大幅に増加させることがわかった。また、環化によってジユビキチンの静的および動的な構造安定性も非環状型に比べて大幅に上昇させることがわかった。一方、核磁気共鳴緩和分散実験によって、環状ジユビキチンはマイクロ秒からミリ秒の構造揺らぎを示すことがわかった。この構造揺らぎは環化して初めて観察できるものであった。どのような運動が構造揺らぎを引き起こすのか明らかにするため、長時間の粗視化分子動力学シミュレーションをおこなったところ、環化によってジユビキチンが本来持つナノ秒スケールのユビキチンユニットの開閉運動をマイクロ秒スケールまで遅らせることが見出された。したがって、環化はユビキチン鎖が持つユビキチンユニット同士の運動を抑制し、構造学的に安定化することによって新たな物性を獲得することが示唆された。
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