2020 Fiscal Year Research-status Report
肺多形癌のゲノム・エピゲノム解析による新規治療開発を目指した研究
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20K15771
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中込 貴博 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40868303)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺多形癌 / エピゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、研究計画書の記載の通り、まず研究対象患者の選定を行い、臨床情報のデータベースを作成した。続いて手術摘出検体のホルマリン固定パラフィン包埋組織切片標本を鏡検し、肺多形癌の特徴である肉腫様癌成分と腺癌・扁平上皮癌成分とを領域分けした。同様の未染色切片をパラフィンブロックから必要分切り出し、組織ダイセクション法で腫瘍部を組織形態に応じて2箇所、非腫瘍部1箇所を正確に分取し、DNA抽出を行った。必要切片数は症例毎、成分毎の腫瘍細胞数を鏡検時に評価して5-15枚で設定した。全ての検体でエピゲノム解析・ゲノム解析に十分なDNA量を確保できた。 抽出したDNAの半量を用いて、高密度ビーズアレイ(Infinium MethylationEPIC Kit)でゲノム網羅的にDNAメチル化解析を行った。得られたデータは統計解析ソフト「R」を用いてin silico解析を開始した。データはin silico解析の途中であり、結果については出ていないものの腫瘍の肉腫樣癌成分と腺癌・扁平上皮癌成分とでメチル化率が有意に異なるプローブを選定し、その該当プローブの遺伝子領域から腫瘍内の分化メカニズムについて考察する見込みである。非腫瘍部と腫瘍部の各成分についても同様の考察を行い、発癌の段階からメチル化がどのように関与しているかについても考察できる見込みである。 まだ結果は出ていないものの、メチル化Profileで多形癌における腫瘍内の分化を考察した先行文献はないため、ユニークな結果が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍内の組織成分を分取する研究であり、必要な検体DNAが確保が一番の問題と思われたため、全検体で必要DNA量が確保できたことが概ね順調と区分した大きな理由である。メチル化解析は予定通り進んであり、ゲノム解析についても施設内のプロトコール確認作業やコロナ禍の研究日の制限で遅延が生じているものの、少しずつ作業は進行できていたために現在のところ大きな心配はないと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
エピゲノム解析についてはin silico解析を進めてデータの解釈をしていく。ゲノム解析については施設内で実験プロトコールの確認中で準備が出来次第解析を開始する。論文執筆も並行して準備を進めていく。学会発表についてはコロナ禍の状況もあるために現時点では未定である。
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