2021 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス様粒子を用いたCRISPR-Cas3システム送達技術の開発
Project/Area Number |
20K15776
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥嵜 雄也 名古屋大学, 生命農学研究科, 研究員 (30837208)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / CRISPR-Cas3 / ウイルス様粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノム上に大規模な欠損を導入できる新規ゲノム編集技術 CRISPR-Cas3 システムを遺伝子導入が困難な幹細胞や生物個体においても適応可能にするため、小分子依存的にタンパク質をウイルス様粒子(VLP)内に封入する技術であるNanoMEDIC法を用いて、CRISPR-Cas3システムを構成するCas3タンパク質およびCascadeをVLPに封入するための技術を開発した。各Casタンパク質をVLP内に封入するため、VLPを構成するコアタンパク質であるHIV-Gagタンパク質には小分子リガンド依存的ヘテロ二量体形成に必要なFRBドメインを、一方Casタンパク質にはFKBPドメインを付加した発現ベクターを作製した。またcrRNAについては細胞内での高発現を目的とし、レンチウイルスのLTRプロモーターおよびTatタンパク質を用いた発現系を構築した。さらにcrRNAに対して、HIV-Gagタンパク質と相互作用しVLPへの取込みを促進するパッケージングシグナル配列を付与した。 次いでこれら材料を用いてCascade複合体を安定的に発現するパッケージング293細胞を樹立し、Cas3およびCascade複合体を封入したVLPを作製した。次いでCas3を安定発現する293細胞もしくは野生型293細胞においてB2M遺伝子を対象とした遺伝子破壊効率を評価した。その結果、Cascade封入VLPはCas3発現293細胞において30%程度良好な遺伝子破壊効率を、Cas3およびCascadeを封入したVLPについても野生型293細胞において10%程度の遺伝子破壊効率を得ることができた。 本研究の成果は、遺伝子導入が困難な細胞種へのCRISPR-Cas3システムの適応や、リピートの重複を原因とするハンチントン病や筋強直性筋ジストロフィーへの遺伝子治療への応用が期待できる。
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