2021 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病疾患サブタイプを考慮した新規ドラッグリポジショニング法の開発
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20K15778
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊地 正隆 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (90722538)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / ドラッグリポジショニング / サブタイピング |
Outline of Annual Research Achievements |
現在アルツハイマー病 (AD:Alzheimer's Disease) の新薬開発は難航している。効率的な薬剤探索の手法の一つとして既存の薬剤から新たな薬効を見出し別の疾患へ応用するドラッグリポジショニング (DR:Drug Repositioning) が注目されている。中でも公共の遺伝子発現データを用いたデータ駆動型の様々なDR手法が提案されてきた。しかし特定の研究で得られた遺伝子発現データはしばしば再現性が低く、また遺伝子間の関係性も十分に考慮されていない。そこで本研究では独自に収集し解析した約1万件以上の公共のADオミックスデータによるメタアナリシス統計量とADに特化した生体分子ネットワークデータを駆使する。また遺伝子がもつ疾患特徴量や薬剤効果量を遺伝子間の”つながり”を介して周辺に伝播させる新手法の開発を行いADに特化した精度の高いDRを目指す。 令和3年度は効率的なDRを目指すために疾患のサブタイピングを行った。The Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative (ADNI)から健常者、軽度認知機能障害(MCI)、AD患者に関する髄液バイオマーカーデータや、MRIによる脳体積データ、APOE遺伝子のジェノタイプデータといったマルチモーダルなデータを取得し解析に用いた。このマルチモーダルデータに基づき、異種混合学習法によって決定木を構築した。決定木を構成する葉ノードにおいて、同じ葉ノードに分類された検体群は似た特徴を示すことから1つのサブタイプと考えた。構築した決定木をMCI検体に応用した結果、MCIはいくつかのサブタイプに分類され、健常者に近い検体やADに近い検体群に分類されるとともに、髄液バイオマーカー異常や脳萎縮に関して異なる表現型を示すことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妥当な疾患のサブタイピングを行うことができ計画はおおむね順調に進展している。本年度の知見を踏まえ今後の研究結果の考察を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は解析用データの整備を行い、実際に解析を行う。解析の結果得られたサブタイプ情報を加味したネットワークプロパゲーション法を実施する。またその国内外の学会において情報収集や成果発表をする予定である。
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Causes of Carryover |
次年度は公共データの整備および解析結果のストレージを行う。そのために必要となる環境整備に充当する。
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Research Products
(9 results)