2021 Fiscal Year Research-status Report
大腸菌二重欠失株の網羅的構築による薬剤耐性獲得能を抑制するターゲット遺伝子の探索
Project/Area Number |
20K15779
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
武藤 愛 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 訪問研究員 (80730506)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | bar-seq / 薬剤耐性 / 接合伝達 / 大腸菌遺伝子欠失株ライブラリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では細菌の薬剤耐性を抑制する手法の開発を目指し、大腸菌で薬剤耐性をもたらす遺伝子欠失変異を、寒天培地上で接合伝達機構を利用して網羅的遺伝子欠失株ライブラリに移すことで二重変異株の網羅的構築を行う。構築された網羅的二重変異株の薬剤下での生育度を測ることで、細菌の薬剤耐性を抑制するターゲット遺伝子を探索することを目的とした。 令和3年度は、前年度に明らかとなった問題を改善し、高濃度抗生物質投与下で混合培養した大腸菌網羅的遺伝子欠失株ライブラリのダイナミクスデータの取得に成功した。作用機序の異なる薬剤を含む8種類の薬剤について高濃度での欠失株ライブラリ混合培養実験を行い、うち5薬剤について、混合培養した株の増殖を確認した。高濃度薬剤下での時系列サンプリングを行い、4薬剤についてダイナミクスデータの取得に成功し薬剤耐性をもたらす遺伝子欠失変異の検討を行った。その結果、1薬剤あたり10株ほどが時系列に沿って顕著な頻度上昇を示しており、これらを二重変異株構築の候補株とした。ただし一部の薬剤への耐性については、個別検証の結果ライブラリ構築時に使用したプラスミドの残留によるものであることが明らかとなったため、候補株から除外した。 また、今年度より所属の変更に伴い、当初使用する予定であった大腸菌コロニーを寒天培地上に整列するロボットが使用できなくなり、またCOVID-19感染拡大防止措置によって機器利用のための出張も困難であったため網羅的二重欠失株の構築実験に支障をきたしたが、現所属機関の保有する自動分注装置の機能を改変することでコロニーの植菌・整列が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度、高濃度抗生物質投与下で混合培養した大腸菌網羅的遺伝子欠失株ライブラリのダイナミクスデータの取得に成功し、候補株が得られた。当初予定では候補株が得られたら前所属の大腸菌コロニー植菌・整列ロボットを使用して二重欠失株構築実験へと進む計画であったが、前所属研究室の閉室に伴いロボットが使用できなくなった。機器の移設先である信州大学への出張がCOVID-19感染拡大防止措置によって困難となり、網羅的二重欠失株の構築実験に支障をきたしたために遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初使用する予定であった大腸菌コロニーを寒天培地上に整列するロボットが使用できなくなったことについて、現所属機関の保有する自動分注装置の機能を改変することでコロニーの植菌・整列が可能となったため、今後は現所属で網羅的二重欠失株の構築実験を行う予定である。緊急事態宣言が解除されたことにより、ロボットの移設先である信州大学への出張も可能となったため、必要に応じて両機器を使い分けることで、研究の推進を図る。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大防止のための措置によって当初予定していた実験が行えなかったため、研究計画の変更により次年度使用額が生じた。次年度使用額は当初より予定していた接合伝達による薬剤耐性抑制のターゲット遺伝子探索実験に使用する予定である。
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