2021 Fiscal Year Research-status Report
Identification of non-coding driver mutations
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20K15780
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 智恵 (菊竹) 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (30843833)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バイオインフォマティクス / がんゲノム / ゲノム解析 / 統計解析 / 非コード領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、PCAWGとCOSMICで公開されている約3,300症例の全ゲノムデータとTCGAで公開されている約400症例のATAC-Seqデータを利用し、全ゲノム領域を対象に、変異が集中しているオープンクロマチン領域の探索と機能推定を行った。
PCAWGとCOSMICから18がん種の全ゲノムシーケンスデータを用いて、TCGAで定義されたオープンクロマチン領域に位置する変異数に基づいてオープンクロマチン領域を3つのカテゴリーに分類した。そして、変異数の多いオープンクロマチン領域のクロマチン状態、ゲノム増幅、ターゲットとなりうる遺伝子を調査した。また、オープンクロマチン領域の変異数と患者の予後との関連性を解析した。その結果、一部のがん種では、変異数の多いオープンクロマチン領域におけるプロモーターやエンハンサーのクロマチン状態の割合が、変異数の少ない領域と比較して有意に高いことが示された。また、変異の多いオープンクロマチン領域の標的遺伝子は、他のオープンクロマチン領域よりもがんとの関連が強いことが分かった。オープンクロマチン領域の変異数が多いことは、いくつかのがん種において予後不良と有意に関連していた。これらの結果は、高度に変異したオープンクロマチン領域ががんの発症に重要な役割を果たし、患者の予後を予測するために有効に利用できることを示唆している。
本研究の成果は2022年4月1日に「Pan-cancer analysis of mutations in open chromatin regions and their possible association with cancer pathogenesis」というタイトルでCancer Medicine誌にアクセプトされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度~令和3年前半に実施予定の「(1)-1. 非コード領域においてTFBSの配列を壊す変異の探索」と「(2)-2. 非コード領域に置いてTFBSの配列を形成する変異の探索」に関しては概ね完了した。現在は、これらの探索の結果得られた候補制御領域リストを使って「(1)-3. 抽出された変異とターゲット遺伝子の発現及び患者の予後との関連について検証」および「(2) 独立した別データによる検証」についての解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に「(1)-3. 抽出された変異とターゲット遺伝子の発現及び患者の予後との関連について検証」および「(2) 独立した別データによる検証」についての解析を完了させる。がんゲノム解析に関して、TCGA、ICGC、ENCODEなどに登録されているデータを使用することを計画していたが、近年急速に様々な新規データベースが利用可能となっている。そのため、研究の遂行にあたって活用できるデータベースの精査を行い、利活用を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により、海外学会や国内学会が中止もしくはオンライン開催となり、これらの参加に対して計上していた旅費の使用が不要となった。
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Research Products
(3 results)