2022 Fiscal Year Research-status Report
ゼニゴケゲノムDBの拡張開発と仮想化技術を応用した高可搬性ゲノムDBの開発
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20K15783
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
谷澤 靖洋 国立遺伝学研究所, 情報研究系, 助教 (90836511)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゼニゴケ / ゲノム / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物の発生進化生物学分野におけるモデル生物として広く研究されているゼニゴケの正確かつ充実したゲノムおよびその遺伝子アノテーション情報を研究コミュニティに提供するためのゲノムデータベースMarpolBase (https://marchantia.info) の開発を行っている。また、その主要機能の一部をベースとしコンテナ仮想化技術等を応用することで、コンピュータのプラットフォームや実行環境によらず汎用的なゲノムデータベースを簡便に構築できる「高可搬型ゲノムデータベース」の開発を行っている。 令和4年度は、これまで京都大学と共同で開発を行なってきた発現量データベース MarpolBase Expression について Plant and Cell Physiology 誌において論文発表した (DOI: 10.1093/pcp/pcac129)。The Plant Cell 誌 (DOI: 10.1093/plcell/koac219) およびアグリバイオ誌 (2023年3月号) にそれぞれ掲載された総説の執筆に参画しゼニゴケゲノムに関わる最新の状況とデータベースの諸機能についての概説を行った。 また、汎用的なゲノムデータベースの開発事例としていくつかのゲノムデータベースの構築を行なっている。令和4年度では散在していた5件のメダカゲノムの情報を統合したデータベース MedakaBaseを構築し公開を行った。同じくイエネコゲノムデータベースCats’ Iについては現在までにデータベースの開発は完了し、ゲノム解析を行った成果を査読付き論文誌へ投稿準備中となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度では京都大学との共同研究により開発を行なってきたゼニゴケ発現量データベースMarpolBase Expression (MBEX, https://marchantia.info/mbex/) を完成させ、論文発表を行った。MBEXは公共塩基配列データベースに公開されている460件のRNA-seqデータの再解析によって得られたデータの可視化および解析ツールを提供している。ゼニゴケデータベース本体の新機能としては遺伝子発現抑制を行うための人工miRNAの設計支援ツールを開発した。今後同様の支援ツールを開発するためのソフトウェア基盤としても期待される。 また、データベースの機能の一部を応用し複数の生物種におけるゲノムデータベースの開発を行っている。そのうち、メダカゲノムおよびイエネコゲノムデータベースについては一般に公開されている (MedakaBase, https://medakabase.nbrp.jp および Cats’ I, https://cat.annotation.jp) 。前者はこれまで散在していたメダカゲノムの情報を包括的に統合し、研究者が利用しやすい形で格納したものとなっている。一方、イエネコゲノムに関してはこれまでにデータベースの主要な機能開発と解析は終わっており、論文投稿準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ゼニゴケゲノムの遺伝子アノテーション情報の大規模な更新作業を進めており、近日公開予定となっている。更新されたデータはDDBJを通して公共塩基配列データベースへの登録を予定しており、これによりゼニゴケゲノム情報がより広く利用されることが期待される。さらに、PacBio HiFiでシークエンスを行って雄および雌の標準系統の高精度ゲノム配列を構築する計画がある。得られた情報はデータベースから公開を予定しており、これら結果も含めてゼニゴケゲノムデータベースの論文化を目指している。発現量データベースに関しては新規に公開された公共データの取り込みと更新されたゲノム情報に基づいた再解析を進める予定である。 また、共同研究を通して複数の生物種のゲノムデータベース構築を進めており、これらも順次公開を行なっていく予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた海外の学会参加が渡航制限等の事情でできなかったことと、予定していたサーバーの購入を見送ったため、次年度使用額が生じた。次年度にゲノムシークエンシング費用として使用する予定である。
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[Presentation] Marpolbase: ゼニゴケのための遺伝子情報および発現量データベースの開発2022
Author(s)
谷澤 靖洋, 川村 省吾, Romani Facundo, 矢倉 勝, 望月 孝子, 坂本 美佳, 山岡 尚平, 西浜 竜一, 中村 保一, 大和 勝幸, Bowman John, 河内 孝之
Organizer
第64回日本植物生理学会年会
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