2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K15787
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
馬場 崇 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90609992)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分泌経路 / オルガネラ / 乳酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
ER exit site(ERES)は小胞体に数多く点在する分泌経路の開始地点であり、特に核近傍に局在が集中している。本研究では分泌経路におけるERESの分布の役割を調べことが当初の目的である。 低pHがゴルジ体やリソソームの分布に影響を与えることは既に報告されていることから、細胞外部のpH変化がER exit siteをはじめとする分泌経路のオルガネラ局在に与える影響を調べた。これまで生体内環境を模するため高乳酸環境(高乳酸血症や腫瘍内微小環境で引き起こされる)におけるマクロファージ様株J774.1細胞のERES (Sec31A)、ゴルジ体以降のオルガネラ(トランスフェリン受容体)の局在を調べたところ、わずかながら局在が変化していることを見出した。このことから高乳酸環境はマクロファージの分泌経路に影響を及ぼすことが示唆される。本年度は当研究室で行われたゲノムワイドCRISPRスクリーニングから同定された遺伝子群から乳酸反応性かつ分泌経路に関わる幾つかの候補遺伝子をピックアップし、その遺伝子のノックアウト細胞株を樹立し解析した。高乳酸環境においてマクロファージはTLR2/4リガンド刺激依存的なIL23Aの転写が増強されるが、候補遺伝子のノックアウト細胞ではその転写増強が減少した。ノックアウト細胞株は2種類のガイドRNAを用いて作製したことから、オフターゲット効果によるフェノタイプではないことが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
外部環境変化に伴う分泌経路のオルガネラ局在変化やそれに関わる遺伝子の候補は見出されつつある。一方で、研究室を異動してから間もないことから、新しい実験系の立ち上げなどがあり遅れた部分は否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
候補遺伝子のノックアウト細胞をクローニングし解析を進めていく予定である。特に高乳酸環境におけるTLR2/4やその下流因子の局在変化に焦点を当てて調べていく。また、当初の目的であるERES局在と分泌経路との関連性については、乳酸が豊富にある状況下でのERES局在変化と分泌経路への影響について明らかにしていければと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍や異動に伴い研究の進展が遅延したため次年度使用額が生じた。今後は主に細胞培養、プラスミド作製、ウエスタンブロッティング法や間接蛍光抗体法に使用する消耗品(チップやディスポーサブルのピペットやチューブなど)、抗体をはじめとする試薬購入に用いる予定である。
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