2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K15787
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
馬場 崇 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90609992)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 小胞体出芽部位 / 高乳酸環境 / IL-23 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体出芽部位はCOPII輸送小胞の小胞体上の形成部位であり、分泌輸送の開始地点である。本研究は細胞内に分布する小胞体出芽部位 (ER exxit site: ERES))は、局在によって機能的に差があるかを見出すことを目的とする。細胞外のpHとオルガネラの局在は相関することから、細胞外環境の変化がERESを中心とした輸送に与える影響または、そのような輸送を制御する因子の同定を試みている。これまで生体内の腫瘍や慢性炎症部位において形成される高乳酸環境が小胞輸送関連オルガネラの局在へ与える影響を調べたところ、ERESだけでなくエンドソームの局在がわずかに変化していることを見出している。また、高乳酸環境はIl23aの転写を増強をすることが知られているが、最近行われたゲノムワイドCRISPRスクリーニングによりエンドソームに局在する小胞輸送制御タンパク質がその制御に関わることがわかった。本年度は同定されたタンパク質が複合体を形成することから、複合体の他の構成タンパク質も乳酸反応性に関与するかどうかを調べた。2種のガイドRNAを構築したのち、Cas9を発現するJ774.1細胞株に導入することによりノックアウト細胞株を樹立した。乳酸反応性をIl23aのレポーター遺伝子を導入することにより調べたところ、ノックアウト細胞株では低下していた。炎症性サイトカインであるIL-23の過剰な産生はTh17細胞を介した慢性炎症の原因となる。今回の結果は、慢性炎症を改善する分子標的薬の開発に貢献できると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高乳酸環境における小胞輸送制御因子は同定され、今後の発展性が見込める。 一方で、どのように同定された遺伝子が高乳酸環境において輸送を制御するかは不明であり今後の課題である。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞外環境の変化はERES以外の膜区画の機能に幅広く影響を与えるが分かってきた。そのため、他のオルガネラにも着目し局在と機能というテーマで進めていければと考えている。
|
Causes of Carryover |
COVID19による研究の一時中断、または研究室を異動した際に実験を立ち上げるのに時間を要し研究が完遂できなかったため次年度使用額が生じた。次年度は引き続き細胞培養やウェスタンブロッティングなどのルーティンで行う実験に必要な消耗品、学会発表や論文発表に使用する予定である。
|