2021 Fiscal Year Research-status Report
The role of clock genes in cell communication
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20K15792
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中里 亮太 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (30761803)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 一次繊毛 / 時計遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は時計遺伝子による一次繊毛の形態、および一次繊毛由来小胞の放出制御メカニズムついて検討を行った。 NIH3T3細胞を用いた免疫染色の結果から、時計遺伝子の発現変動とともに、一次繊毛の根元である中心体へのタンパク質の集積が、一過的に変動する様子が観察された。また、微小管の重合阻害剤により、中心体タンパク質の集積を抑制すると、時計遺伝子による一次繊毛の形態変化が著明に抑制された。以上の結果から、時計遺伝子は中心体タンパク質の細胞内局在性を介し、一次繊毛形態・一次繊毛由来小胞放出を制御することが明らかとなった。 さらに、本年度は生体内における一次繊毛についても検討を行った。昼と夜の異なる時間帯においてマウスに灌流固定を行い、脳の凍結切片を作製後、免疫組織染色を行った。その結果、昼と夜の異なる時間帯において、マウス脳内での一次繊毛の長さが異なる様子が観察された。以上の結果から、実際の生体内においても培養細胞と同様、時計遺伝子により一次繊毛・一次繊毛由来小胞が制御されている可能性が示唆された。 また、一次繊毛のマーカータンパク質であるArl13bに蛍光タンパク質(Venus)を融合させたArl13b-Venusを発現するNIH3T3細胞を用いたタイムラプス実験を行い、生細胞における一次繊毛を観察する方法を確立した。この方法を用いて、時計遺伝子の発現変動が与える一次繊毛への影響を、固定した細胞だけでなく、生細胞においても検討を行うことができる。 以上の研究成果は一次繊毛・一次繊毛由来小胞と時計遺伝子の関係性を解明するという本研究の目的達成に大きく貢献すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時計遺伝子による一次繊毛の制御メカニズムを明らかにし、生体内における一次繊毛についても検討を行えたことから、計画通りおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は時計遺伝子により変動する一次繊毛の形態・および一次繊毛由来小胞放出の生理学的意義や機能的役割を明らかにする。 さらに、これらの研究成果を論文にまとめ、国際誌へ投稿する。
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Causes of Carryover |
本年度は参加予定であった学会がすべてオンライン開催となったため、学会参加のための旅費を使用しなかった。また、計画していたマウスを用いた実験が順調に進んだため、想定よりもマウスの購入費は抑えられた。これらの理由により生じた次年度使用額は、翌年度分として請求した助成金と合わせ、可能であれば学会へ積極的に参加し、その旅費として使用する。また、本年度末から最新鋭の顕微鏡が大学の共通利用機器に導入され、より説得力のある研究データを取得するため、積極的に顕微鏡を使用する予定であり、その機器使用料として使用する。また、次年度は国際誌へ論文を投稿する予定であり、より質の高い論文を投稿するため、英文校正などを積極的に利用し、それらの経費としても使用する予定である。
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