2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K15795
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
杉山 伸樹 沖縄科学技術大学院大学, 膜生物学ユニット, 研究員 (70868687)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞膜損傷 / プロトン / 出芽酵母 / タンパク質相転移 / オルガネラ |
Outline of Annual Research Achievements |
新規なカルシウム非依存的な細胞膜/細胞壁損傷応答の発見を目指して、細胞膜/細胞壁損傷時に液液相分離やゲル化、凝集するタンパク質の探索を行った。まず、出芽酵母において過去に種々のストレス応答して液液相分離や凝集することが報告されているタンパク質を中心に、界面活性剤やレーザーによって弱酸性培地で細胞膜/細胞壁損傷を引き起こした際の挙動を蛍光顕微鏡で観察した。その結果、細胞膜/細胞壁損傷依存的に斑点状の集合体を形成するタンパク質を複数発見した。その中の一部は斑点の形成が培地のpHが弱酸性の場合には観察されたが、中性では見られなかったことから、細胞膜損傷時のプロトン流入により液液相分離や凝集している可能性が高い。また、発見したタンパク質の中には、リン脂質代謝に関わるタンパク質もあり、それらのタンパク質の凝集によって細胞膜損傷時の膜脂質代謝を制御している可能性がある。 また、蛍光タンパク質融合タンパク質を観察する中で、細胞膜/細胞壁損傷時に小胞体などの一部のオルガネラの形態が変化することを発見した。高濃度カルシウム処理によって細胞内カルシウム濃度を上昇させた際には形態変化は見られないことから、カルシウム流入に依存しない現象の可能性がある。これらの形態変化は培地のpHに依存しないことからプロトンの濃度勾配に依らない現象ではあるが、目的の一つであるカルシウム非依存的な細胞膜/細胞壁損傷応答の発見につながる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞膜損傷時にプロトン流入依存的に相転移するタンパク質の候補を発見した。当該年度に計画当初の仮説であった細胞膜/細胞壁損傷時のタンパク質重合による細胞質の流動性低下が真菌において報告されたが、細胞膜/細胞壁損傷依存的なオルガネラの形態変化を発見できたことから新たなカルシウム非依存的な細胞膜/細胞壁損傷応答を実証できる見込みが十分にある。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に計画当初の仮説であった細胞膜/細胞壁損傷時のタンパク質重合による細胞質の流動性低下が真菌において報告されたため、細胞膜/細胞壁損傷時のオルガネラの形態変化の機構と意義の解明に注力する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により一時研究施設が閉鎖されたため、計画通りに予算を消化できなかった。当該年度に予定していた物品は、次年度前半に購入することを計画している。
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