2022 Fiscal Year Annual Research Report
重力シグナル伝達因子のリン酸化を介した局在制御機構の解明
Project/Area Number |
20K15826
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
四方 明格 基礎生物学研究所, 植物環境応答研究部門, 助教 (10813272)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重力感受 / シロイヌナズナ / コルメラ細胞 / 細胞極性 / 細胞膜局在 / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の根は重力方向に向かう一方で、茎葉は重力に逆らって成長する。このように地球の重力環境下で進化を遂げてきた植物にとって、重力が形作りの基礎となっている。植物の重力感受は、感受細胞内において、高比重のオルガネラであるアミロプラストが細胞内で重力方向へと沈降する物理的変化が生物化学的変化に変換される事で、情報が伝達されると考えられている。私たちはこの段階に関わると想定されるLZY蛋白質を同定し、その役割の解明を目的として研究を行っている。 LZY蛋白質は、根で重力感受を担うコルメラ細胞において重力方向側の細胞膜に偏って局在するが、この局在機構及びその意義は不明であった。本研究では根の重力感受に働く主要分子種であるLZY3に対して様々なアミノ酸置換変異を導入し、それらの変異が細胞内局在および根の重力応答に与える影響を調べてきた。LZY3蛋白質上の2ヶ所の領域が細胞膜への局在に関与し、うち一方は重力応答に必須である事を明らかにした。また、LZY3蛋白質の蓄積は通常低く抑えられているが、上述の部位への変異導入が蛋白質の安定性を亢進させた。正電荷アミノ酸をグルタミンへと置換する事で細胞膜局在性が低下した事から、細胞膜上の負電荷を帯びたリン脂質への結合を介してLZY3は細胞膜へと局在する事が示唆された。負電荷を有するリン脂質の蓄積部位を調べたところ、これらの脂質の殆どはコルメラ細胞の細胞膜上に均一に存在していた。さらにLZY3蛋白質はアミロプラストの外包膜上にも局在する事を見出したが、これらの事実はアミロプラストの沈降に伴い、LZY3蛋白質がアミロプラスト近傍の細胞膜へと静電気的相互作用を介して移行する事が、LZY3の極性局在の形成と重力情報伝達に必要である事を示唆する。本研究ではLZY3のリン酸化の意義解明には至らなかったが、植物の重力情報伝達機構の理解を大きく進めたと言える。
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[Journal Article] Cell polarity linked to gravity sensing is generated by protein translocation from statoliths to the plasma membrane2023
Author(s)
Takeshi Nishimura, Shogo Mori, Hiromasa Shikata, Moritaka Nakamura, Yasuko Hashiguchi, Yoshinori Abe, Takuma Hagihara, Hiroshi Y. Yoshikawa, Masatsugu Toyota, Takumi Higaki, Miyo Terao Morita
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Journal Title
BioRxiv
Volume: -
Pages: -
DOI
Open Access
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